4バーディ・1ボギーの67。3アンダーパーでホールアウトした谷口徹のインタビューは、終始、軽やかな喋りだった。それもそのはず。18番で10メートルのバーディパットを沈める締めくくりだったからだ。今季、コロナ禍でレギュラーツアーには1試合。そしてシニアツアーが4試合。久しぶりにレギュラーツアー、それもナショナルオープンで戦う。「いろいろ取り組んでいて、シニアに行っていたけれど、パッティングがパッとせずに、調子が悪いのかなと思っちゃうんだよね。なぜならスピード感がシニアは違うのでね。今週は、グリーンが速いので、自分なりにイメージ良くすれば入るかな、と思っていました」とパッティングの感覚の良さをアピ
ールしていた。
前半は、8、9番と連続バーディ。あとはパープレー。
「前半は、フェアウェイから打てているのに、朝露が残っていたのか、フライヤーしているような感じで飛びすぎてしまっていた。後半は逆にフライヤーを気にし過ぎていた」という。それでもパッティングにひとつのヒントがあった。「7番で上りのパットを外して、そうか、少しワイドスタンスにしようかなと思って、9番で実践して綺麗に入ってくれました。安定感があったほうがストロークしやすいのかなぁ」と解説してくれた。
第1ラウンドで3アンダーパーについて、谷口は「いや、正直いってこんなスコアが出るとは思っていなかったんですよね。距離も長いし、練習ラウンドのときは、よく曲げていたので、でも今日はフェアウェイを捉えられましたね。いやね。練習ラウンドで高校生と一緒にラウンドしたんですよ。すごいですね、いまの高校生ゴルファーは……。最初、緊張しているのかな、と思ったけど、ティーショット打ったらバーンと打っていったから、驚きですよ。むしろ、その飛距離にこっちが緊張しちゃったかなと思うくらい(笑)」と言った。この日も同組には23歳の今野大喜。25歳の佐藤太地。「締めくくりのバーディで、おじさんもなかなかやるだろって(笑)見せられたかな」と饒舌に語った。
もうひとつ谷口の変化がある。それは「7月からフェードを取り入れた」ことである。ドロー、ストレートの球筋だけでなく、フェードボールも武器にしようとチャレンジしたことだった。それを今回実戦で使ってみたという。「うまくいきました。左からフェードでフェアウェイをキープしたいと思ってね。ストレートがいちばん難しいんだから、球筋を利用しないとね。1回も左にそのまま抜けていく球筋はなかったです」と52歳の谷口は、まだまだ貪欲な探究心を持ち合わせている。
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