谷原秀人は、10番からのスタートだった。その10番で、第2打を2.5メートルにつけてバーディ。さらに11番(パー3)でも4メートルにつけてのバーディと幸先の良いスタートを切った。ショット、そしてパッティングが冴え渡っていた。14番では、6メートル。15番(パー3)では、4番アイアンで打って1メートル。いずれも沈めてバーディ。さらに17番では、グリーン外からチップインのバーディ。ノーボギーの30で折り返した。
「いやー、天気も良かったので(笑)」と冗談交じりで言った。後半に入って、1番でカラーから3パットしてボギーとしたものの、4番(パー3)では、6番アイアンで5メートルにつけて、それを沈めて
バーディ。とどめは9番だ。55度のウェッジショットは、3メートル。もちろん、沈めてバーディとし、後半は34。トータル64の6アンダーパー、通算4アンダーパーで、2位タイで終えた。
「今季、2戦目ですからね。(コロナ禍で)暇でしたからね、かなり。スウィングを替えるには最高で。 試合感覚がそこまで離れちゃうと練習みたいになっちゃうというか…フジサンケイもそうでしたけど、全部ピンを狙っちゃうというか、マネジメントが出来ていなかったですね。こういうシビアな方が、ちゃんとマネジメントもやりだすというか」と語った。
試合からしばらく離れて、いざ試合に向かうと、どうしても本能的にピンを狙ってしまう。その押し引きの機微が、試合感となるのだが、それができなかったというのだ。
谷原が、欧州ツアーに挑戦したのは、2017年だった。それが39歳のときである。
「やっぱり海外はいいですよね、難しいコースが多いというか。若い子にも行って欲しいんですよね。コースが選手を育てるじゃないけど、それぐらい日本と海外じゃコースが違いすぎて。 もっと飛ばないといけないんだよ、と思っちゃうし。海外では飛ぶ選手も上手いですし。日本人だからとかいう時代ではないので。なるべく遠くに飛ばして。 やっぱりそういう長いコースでやった方がいいかな、と思います」と、ヨーロッパ各地のさまざまなコースにぞっこんになった。
だからこそ、本選手権のコースセッティングでプレーしていると、闘志が燃えるのだという。
球筋もドローボール一辺倒から、フェードボールも挑戦した。「(欧州ツアーでは)みんなドローもフェードも上手く打てるというか、打つというか。そういう球筋の幅も欲しいわけですよ」と、試行錯誤を繰り返しながら、前へ前へと進もうとしている。「40歳をすぎて、でも、向こうでは、若く見られるんですよ。ヘイ、ボーイとかいわれちゃって(笑)」とハニカミながら言った。「また、できることなら欧州ツアーに行きたい」という谷原は、貪欲。「だって、もっと上手くなりたいもの」と笑った。あと2日間。谷原が欧州ツアーで得た引き出しを存分に発揮して欲しい。
|