得意クラブは?と聞かれた杉原は即答する。
「ドライバーです!」
振れば300ヤードは超えるという。距離の長い紫カントリークラブすみれコースは、攻めがいのあるコースということになりそうだが、これに関しての答えは、ちょっと意外であり、ただの飛ばし自慢の選手というわけではなかった。答えというのは、こうだ。
「こういう難しいコースでは、自分の武器は通じない。練習ラウンドで、ドライバーを使っていいホールと、使ってはいけないホールをはっきりと分けて確かな戦略を立てておかないと予選通過は難しいと思いました」
というわけで、第1ラウンドに続いてドライバーを手にしたのはパー3を除く14ホール中5ホールだ
けで、あとは3番ウッドと2番アイアンでのティーショットだった。「このコースは、フェアウェイにおいておかなければ攻められないし、しのぐばかりになってしまいますから…」
10番からのスタートで2バーディを奪って後半にターンすると、3番からの3連続バーディで一気にトップグループに名を連ねた。ここで、杉原のポテンシャルの高さを物語る使用クラブの番手を紹介しておきたい。
463ヤードの3番(パー4)は、3番ウッドでティーショットしたあと、フェアウェイからの第2打は8番アイアンで3メートルにつけた。続く503ヤードと距離の長い4番パー4(通常営業ではパー5)ホールはドライバーを使い、第2打で手にしたのはピッチングウェッジだった。それも上りラインになるようにコントロールして、狙い通りの5メートルを沈めた。さらに5番ホール(435ヤード)は2番アイアンでのティーショットのあと、ピッチングウェッジでの第2打をカラーにこぼしたが、そこからチップインのバーディという内容であった。この飛距離があれば、何が何でもドライバーで…という気持ちにはならず、余裕を持っての攻めができようというものだ。ここ数年のゴルフは、日本でもパワーゲーム化されてきている。杉原なら、そうした流れに乗り遅れることはあるまい。
そんな杉原だが、本選手権は初出場である。「昨年までは予選会に挑戦しても、一度も突破できませんでした」。ショット精度を高めるための練習を積み重ね、大きく成長しての最終予選突破でつかんだ出場権だった。
2位タイに浮上したことで、第3ラウンド以降の優勝争いも見えてきたが、ここでも杉原は謙虚に語った。「アマチュアの争いとか優勝争いとかは、あまり意識していません。それより、どこまで自分のゴルフが通用するのかをコースに教えてもらいたいと思っています」
謙虚で、冷静。それでいて爆発力も秘めている杉原のゴルフから目が離せない。
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