最終組。それも同組にはアマチュアの河本力。1打遅れてのスタートだった。河本と谷原は、スタートから5ホール、ずっとパープレーで進んだ。最初にスコアが動いたのは谷原だった。6番(パー3)。谷原が3メートルのバーディパットを沈めた。すると、すかさず次の7番では河本がバーディ。外側から見ると、火花が飛び散るようなマッチプレーの様相に見えた。けれども、百戦錬磨の谷原の気持ちは、穏やかだったという。「今日は、自分自身を追い込まないようにプレーしよう。こういう悪天候、雨、しかも寒さは、欧州ツアーでいくらでも経験している。スコットランドなら、もっと強風だし、寒かったりが当たり前ですからね」と穏やかに語った。む
しろ、若い20歳の河本をみて「楽しかったですよ。飛ぶし、うまいし。やっと日本にもこういう選手が出て来たんだなぁって。アマチュアだからとかじゃなく、一人の選手として見ていました」という。
谷原は、スタート前から気温11度前後。しかも雨という状況を、しっかりと把握していた。「2番手違ってくるホールもある。それに風。フェアウェイからでもフライヤー気味のショットが出る。滑ってしまうしボールコントロールが難しいなぁ」という感じだったという。7番でバーディのあと8番(パー3)でボギー。10番(パー4)でもボギー。劣勢にみえた。谷原が本領を発揮したのは、そこからだった。11、12、13番と連続バーディとした。2.5メートル。5メートル、そして6メートルを沈めたのである。谷原は、練習ラウンドでも、試合で起こりうるであろう場面を想定して、練習をしていたという。ラフや自分ならミスしたら、こうなるだろう。ならば、そこでのリカバリーの練習を、という感じである。
「欧州ツアーでは、毎週のように各国のナショナルオープンに行って戦ってきましたから、誰しもが、ナショナルオープンに勝ちたいと思いますよ」という。この日の1アンダーパーは「十分です。ただ明日、最終ラウンドの展開はイメージできないですよ。天気次第だし、誰が飛び出して来てもおかしくない情況ですからね。そういうときは、ともかく1つ1つ、コツコツとアンダーパーを重ねるしかないですね」自分を追い込まないで情況を把握しながら俯瞰してプレーした第3ラウンド。最終ラウンドのサンデーバックナインで、ようやく追い込みをかけるのかも知れない。
|