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チーフルールズディレクターによるTV画像の再検証の結果、13番ホールのパッティンググリーン上で河本選手の球が正しい位置にリプレースされていなかったという事実が分かり、チーフレフェリー立ち合いのもとプレーヤー本人もその画像を確認した。
また、この行為が規則違反となり罰を受けることになるという認識があったかをプレーヤーに確認したところ、罰を受ける行為であるという認識はなく、この時点で罰を受けていたことは知らなかったとの回答があった。
正しい位置にリプレースされなかった球をプレーしたことは規則14.7(誤所からのプレー)に違反し2罰打を受けることになる。
この件は第3ラウンドのスコアカードを提出した後に発覚しているが、上述の通りプレーヤーがスコアカードを提出する前にこの行為が規則違反となるという認識がなく、プレーヤーは罰を受けていたことを知らなかったため、規則3.3b例外が適用となり、第3ラウンドの13番ホールのスコアに2罰打を追加して修正をした(つまり13番ホールのスコアは6打から8打に修正された)。
球を元の箇所にリプレースするときに100%正確に元の箇所にリプレースできるとは限らない(当然、球は正確にリプレースされなければならないのだが)。そして、人間の肉眼では分からない誤差がTV技術によって明らかになる場合は規則20.2cの「肉眼基準」に基づき、映像の証拠を採用しない場合があるが、今回の場合、肉眼でも十分確認できる事案であるため規則20.2cの「肉眼基準」は適用されない。
規則3.3b (3)ホールの間違ったスコア。プレーヤーがホールについて間違ったスコアのスコアカードを提出した場合:
・提出されたスコアが実際のスコアよりも多い。そのホールに対して提出された多いスコアが有効となる。
・提出されたスコアが実際のスコアよりも少ない、またはスコアが提出されなかった。そのプレーヤーは失格となる。
例外-知らなかった罰を含めなかった場合:プレーヤーがスコアカードを提出する前には受けていたことを知らなかった1または複数の罰打を含めなかったことにより、1または複数のホールのスコアが実際のスコアよりも少なかった場合:
・プレーヤーは失格とはならない。
その代わりに、その誤りが競技終了前に分かった場合、委員会は、規則に基づいてそのホールのスコアに含めるべきであった罰打を加えることによってそのプレーヤーのそのホールのスコアを修正する。
この例外は次の場合には適用しない:含まれなかった罰が失格の場合。または、プレーヤーが罰が適用となるかもしれないと言われていた、または罰の適用に疑義があったがスコアカードを提出する前に委員会にそれを提起しなかった場合。
規則20.2cビデオの証拠を使用する場合に適用する「肉眼」基準
委員会が裁定を行うときに事実問題を決定する場合、ビデオの証拠の使用は「肉眼」基準によって制限される:
・ビデオに映る事実が肉眼で合理的に見ることができない場合、そのビデオの証拠が規則違反を示していたとしても採用しない。
・しかし、「肉眼」基準に基づいてビデオの証拠を採用しないときでも、プレーヤーが違反を証明する事実に別の方法で気づいた場合は規則違反が分かることがある(例えば、肉眼で見えていなかったとしてもバンカーの砂にクラブで触れたことをプレーヤーが感じた場合)。
チーフレフェリー内田淳二
チーフルールズディレクター市村元
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