強い風雨の悪天候で第2ラウンドが中止され金曜日の午後は、ぽっかりと時間が空いた。宿舎でストレッチなどをして過ごす選手。近くの練習場でボールを打つ選手と、その空白時間の使い方はさまざまだ。山下美夢有は、練習場へ駆け込んだ。理由がある。「このコースは、距離が長い(全長6550ヤード、パー71)ので、どうしてもショートゲームが大切になると思うんです。ですから100ヤード以内のショートゲームを中心に練習していれば、(ミスしたときに)パーかボギーで上がれるかなと思って重点的にやっていました」と語った。
決して飛ばし屋ではない。むしろ飛距離のアドバンテージは持ち合わせない。そういうタイプの選手にとっ
て、前長距離が長いほうが上位に顔を出すケースが多々ある。それは、ショートゲームとパッティングの巧みさから、飛距離重視の選手と互角かそれ以上の力量を発揮できるチャンスがあるからだ。
山下が重視したショートゲームの再確認練習は、そのためであろう。結果的に「今日はセカンドがぶれていてパーオンできないところもあったけど、しっかりアプローチ&パターが良かったので2アンダーで回れましたし、前半2ホールはボギ―だったけれど、後半バーディしっかり獲れてよかったですね」と言った。前半の2つのボギーは、10番スタートの山下だから、17、18番を指す。この2つのホールは、山下だけでなくどの選手もパーを死守することを第1に考える難ホールだ。第1ラウンドでは、ダブルボギー、バーディだった。そして今日は「17番は、パーが穫れるかなと思ったんですけど……。自分的なミスでボギーでした。18番は、セカンドショットのミス」だった。17番、490ヤード、パー4。やや打ち下ろし。グリーン手前には池がある。「フェアウエイから、残りピンまで205ヤード。風はアゲンスト、3番ウッドで打ってピン手前のカラー。残り20ヤードのアプローチが寄らず、入らずでのボギーでした」と反省していた。
折り返しての3番、パー5でバーディ。続く、4番、パー3。6番、パー4でもバーディをもぎ取って、通算4アンダーでホールアウトした。
会心のショットは、4番、パー3。「160ヤードを6番アイアンで打って、1メートルぐらいにつけたショットでしたね」と言った。総じて「第2打が少しブレていたけれど、アプローチ&パットでしっかりスコアメイクできたことが良かったと思います」と、練習の成果が表れたラウンドだった。
山下の今シーズン。パーセーブ率が88.4パーセントで5位。リカバリー率は、70.72パーセントで2位と粘りのあるゴルフをしている。「今シーズン1勝できて、嬉しいですが、そこからあまり、なかなか調子があがっていなかったんで、やっと今ここ最近はだいぶショットが戻ってきて、ショートゲームも良くなってきています。(今大会だからといって)練習内容は変わらずですが、毎日やっていることをしっかり続けてやっています。そんなにバーディが獲れるコースではないので、パープレーが目標。それをしっかり達成出来るようにやっていきたいですね。このナショナルオープンを獲りたいという気持ちもあるんですけど、まずはしっかり自分のゴルフを楽しんで、それで上位で居られたらいいですね」と、ブレずに、着実に、自分のゴルフを向き合うゲームを考えている。
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