首位のS・ノリスとは、7打差つけられて最終ラウンドを迎えた池田勇太。「これだけ差をつけられたら、もう行くしかないでしょう」という気持ちでスタートした。
難度の高い2、3番をうまくパーで切り抜けて4番でバーディ。そして6番でもバーディと追い上げエンジンをかけた。そして10番でバーディを奪って、ノリスとの差は、一気に3打差まで詰め寄った。残念だったのは、12番、349ヤード、パー4。その第2打だった。フェアウエイからの追い風のショット。「フェアウエイは逆目からのショットで、突っかかるイメージがあったんだけど、そのときに限って順目のライ。それが奇麗にフェースも抜けてしまって、フォローの風にも乗
らすにショートしてバンカー。あれは決してミスショットではないんだけど、強いていえば、計画のズレでのミスショットだったと思う」と悔やむ。それでも、続く13番、174ヤード、パー3でバーディをもぎ取った。ノリスは、きっと「のびのびやっているんだろうなぁ」と思っていたという。
実は、ノリスは、池田が迫ってきているということを知って「(安全策から)バーディを獲らないといけない」という気持が湧いてきて、すかさず12番バーディをもぎ取った。池田の最大のピンチは、16番、529ヤード、パー5だった。バーディ、ひょっとしてイーグルも狙える。その第1打が左の林。行ってみると、グリーン方向に大きな木がある。その幹のすぐ手前。当然、グリーンは遮られてしまう。しっかりと斜め横のフェアウエイにボールを出して、第3打勝負。ピン手前4メートルほどのバーディパットが残った。それを外して、パー。ちょうどその時、ノリスが15番でバーディを奪っていた。ノリス19アンダーパー。池田、14アンダーパー。万事休すである。
それでも池田の攻めは、まだ諦めていない。17番、200ヤード、パー3。しっかりとピンから2メートル半手前に落としてバーディ。再び4打差で最終ホールを迎えることになる。池田は、そこでもバーディ狙い。3メートルほどの距離を、残念ながら外して4打差のまま2位となった。
他力本願、自力本願という言葉を借りてタラレバを言えば、もし小平智が出だしから、トリプルボギー、ダブルボギー、ボギー、ボギーで7打落とさなければ、もう少しノリスにプレッシャーをかけていれば、展開も大きく変わったかも知れないという見方もあるかも知れない。その小平は「今日は昨日となにか違う感じで、何をしてもうまくいかなかったので、悔しいですね。緊張があっても、ここまでおかしくなることはあんまりないので、体だったり、アドレスがしっくりこなかったりですね。ま、負けは負けなので……」と語っていた。
池田はラウンド中「一度も速報ボードを見ていなかった」と言った。大差で迎えた最終ラウンド。その強風の中でさえも、池田にもう少しのバーディがあれば、別の展開があったに違いない。「悔しいけれど、この状況の中での67は決して悪くない」と語った。ノリスの圧巻のプレーに追う側の選手が、敗退した。
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