ボギーなしで6バーディ。シニアルーキーの丸山大輔が、第1日の首位に立った。日本シニアオープンも、もちろん初出場である。本大会に向けての意気込みには、レギュラーツアーを振り返っての思いがこもっていた。
「僕は、レギュラーツアーではナショナルオープンで、これといった成績は残せていなかったので、せめてシニアオープンでは、てっぺんに立ってみたい。そんな気持ちがあったので、オフには気合を入れてトレーニングに取り組んでいました」
シニアツアーでは、やはり飛距離がでる選手の方が有利だろうと、考えてのことだったという。準備して臨んだルーキーイヤー。しかし、意に反して成績には反映されなかった。
どうしてな
のだろう?
丸山は自分のプレーぶりをなぞって、思い当たることがあった。「ちょっと、シニアツアーを甘く見ていたんです。飛距離のアドバンテージを重視し過ぎて、ゴルフが雑になっていたことに思い至りました。(レギュラーツアーに比べて)コース設定が短くなり易しくなると考えてしまっていたんです。実は、飛ばすことよりも、きちんとしたマネジメントやクラブ選択、ショートゲームなど、細かいところまで神経を注がないと、スコアは作れないんですよね」
この気づきのおかげで、本選手権では、丁寧なゴルフを展開した。ティーショットでポジショニングを最優先すべきホールではドライバーではなく5番ウッドや3番ウッドで低めにコントロールした弾道のショットを打ち出した。最初のバーディを奪った13番パー5ホールでは、3Wでフェアウェイをとらえ、ピンまで170ヤードの第2打を8番アイアンで2オン。確実に2パットで収めた。続く14番パー3ホールでは、前ホールでの8番アイアンのイメージを生かして同じクラブで1・5㍍につけた。さらに16番パー3ホールも平坦なエリアを狙って4㍍に乗せ、この易しいラインを決めた。
こうした流れにできたのは、12番ホールでのピンチをしのいだことが大きかったと丸山は言った。
「2段グリーンの上に立っていたピンを狙ったのですが、ボールはバックスピンと傾斜で大きく戻ってしまい、20㍍ぐらいのパットになってしまいました。ファーストパットは3メートルほどショート。これをなんとか沈めてのパーでした。先にボギーを打っていたら、気持ちも凹んでしまったと思います。ピンチをしのいだことで、自分の中にいいモチベーションが生まれました」
アウトでは3番からの3連続バーディが光った。3番では3W、4番では5Wと落下地点だけでなく残り距離も計算してのゴルフであった。
「なんというか、ゴルフをやっているな…という感じで、久々にスコアがまとまりました。第2日以降も、丁寧なゴルフを続けていきます」
丸山は気づきの後のゴルフに、確かな手応えを掴んだかのように、また自分に言い聞かせるように宣言した。
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