10番からのスタートだった谷口は、ティーショットを打つ前にちょっとした誤算があったことに気づいていた。手にしたのはロフト19度のUTクラブ。このショットは左林に引っかかった。脱出にてこずり、パー4ホールで4オン。1パットでボギーに切り抜けるのが精いっぱいだった。
誤算というのは、ドライビングレンジでの仕上げにあった。ドライバーはイメージ通りのショットを続けて「これでヨシ」という状態だった。安心してスタートできると思い、他のクラブのチェックも済ませた。この後、パッティンググリーン、バンカーショットエリアなどもこなしてスタートホールに向かったのだが、10番ではドライバーを使わなかった。「考えてみ
れば、練習場でドライバーを打ち終えてから1時間ぐらいたっていた。その感触が残ったままスタートする気になっていたのに、実際はUTクラブでのティーショットで、このクラブでスタートしていくということを忘れていた。大失敗ですわ」
12番でドライバーショットをフェアウェイに止め、そこからに第2打を3㍍につけるバーディで取り戻したことで落ち着きも取り戻せたという。18番パー5ホールでは第2打がグリーン奥のカラー。そこから2パットのバーディとして2アンダーパーで後半のアウトにターンした。
もう、何の戸惑いもなく、2019年大会チャンピオンの落ち着きと自信を取り戻していた。そして2番から3連続バーディを奪い、5アンダー66でのホールアウトとなった。
でも、この好スコアの最大要因は、ショットでもパッティングでもなく、「カートに乗ってのラウンドできたこと。カートさまさま、ですわ」とおどけた。「起伏があるコースで、息が切れる。練習ラウンドのときはきつくて、ハーフで切り上げたほど。本番では、本当にカートに助けられた。でも、自分の体力がここまで落ちているのかと思うと、ちょっとショックでもありました。ということで、自分にとっての今大会は体力勝負といえるかもしれません」
レギュラーツアーとも掛け持ち出場する谷口にとっては、これまでに経験したことのない戦いが続くのであろうか。
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