日本ツアーで活躍してきたデビッド・スメイル。ここ数年、同ツアーのシードを確保できず、姿を見ることがなくなっていたが、シニアツアーに戻ってきた。長身で持ち味は静かなステディープレー。シニア入りしても、変わっていなかった。けっして冒険はせず、確実にフェアウェイをとらえ、グリーンに乗せていく。
前半は、スコアカード通りのパープレーだった。チャンスを逃しながら…の内容だった。ファーストパットを打ち切れずにショートするパターンであった。
「実は、ここ数年、パターを手にするとネガティブになる自分がいて、どうしても打ち切れない状態が続いていた。本当は口にしたくないけど“イップス”気味なんだ。ストロークも
スムーズな動きにならない」
それが、後半のインでは4バーディを奪う劇的な変わり身を見せる。11番で2メートル、13番では1メートル、16番4メートル、そして最終18番パー5ホールではグリーン手前バンカーからのショットを1メートルにつけて、このチャンスを全てモノにした。バックナインに折り返すとき、自分に言い聞かせたという。
「何をやっているんだ、自分。外したっていいから、もっとしっかりヒットしろ!」
ネガティブなスメイルからポジティブなスメイルへの切り替えができた。入らないんじゃないか…とビクつくより、同じ外れるならカップを通り過ぎる方がいい。同じ組でラウンドした桑原は言っていた。「前半は、見ているこっちが気の毒に思えるほどパットを外しまくっていたけど、後半は別人のように、よく打てるようになっていましたよ」
傍目にもわかる変化であった。
「シニアツアーにデビューするためにオーストラリアツアーで実戦を積んできたので試合勘のようなものは十分に養えた。あとは、とにかくパット次第。決勝の2日間は、この日のバックナインのように、積極的な自分になって臨みたい」
シニアツアーで戦うとなって、どんな目標を立てたのか。「出る試合、全てで優勝したい、だね(笑)」って、どこがネガティブなのであろうか。
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