手嶋多一が、5バーディ・ノーボギーで首位に躍り出た。第1ラウンドでは、1イーグル、4バーディ、3ボギーの68と激しいゴルフだったけれど、第2ラウンドでは、一変し着実にバーディを奪うゴルフに変わった。
「反省したんです。最近、振れてるんですよね。振れてるから距離も少し伸びる。その感じで、ついついグイグイと攻めてしまう。それを今日は、まずピンの奥につけずに、手前、手前というプレーに変えました」と言った。振れているから、気持ちよく打てる、攻められる。でも、そこには落とし穴もある。予期せぬアクシデントに見舞われることもある。「そうなんですよね。先週のコマツオープンでも、せっかくいい位置(最終日を前に
首位と2打差の4位タイ)にいながら、最終日に3発のOBなどでダブルボギーを2つも打っちゃって……」という反省もある。
振れちゃうという現象は、本能的にイケイケの気分になってしまう。ノーリミット状態は、結果的にコントロールが効かないから出たとこ勝負になりがちだ。その反省を込めて「コントロールを重視して、まずはフェアウエイ。そしてグリーンを狙うショットは、ピンの手前に落とす」ことだけに集中するゴルフに切り替えたのだ。
10番からスタートして、3メートルにつけて、いきなりバーディ。13番、パー5も、無理に2オン狙いを考えずに的確に打って、3打目のアプローチは「もうOK距離につけてのバーディでした」と順調な滑り出しだった。15番、379ヤードと短めのパ−4。そこでも、着実にフェアウエイに置いて、残り70ヤードを50センチにつけてのバーディ。33で、後半へ向かった。
「1番から6番まで、ずっとパーでした。でも、ここはボギーもあるというクセのあるホールが多いので、無理せずにパーを凌ぐゴルフでした」という手嶋。そして7番では、ドライバブル(1オン狙い可能な)のパー4。「無理せずしっかりとグリーンエッジまで運んでのバーディでした」。さらに9番、パー5でも、3打目を1メートル半につけてのバーディ。本能的に振れてしまう自分をしっかりと理性でコントロールできた1日となったのである。
「やっぱり欲しいタイトルですよね。ナショナルオープンですからねぇ」と言った。手嶋多一は、ちょうど20年前に、日本オープン(東京ゴルフ倶楽部)に優勝している。2位の米山剛に4打離しての圧勝だった。3位は、伊澤利光である。手嶋にとっては、どうしても欲しいナショナルオープンのこのタイトルを、20年目にして掴み取りたいはずである。
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