3日目を終えて首位の手嶋多一とは8打差の5位タイ。桑原克典は、その最終日を前に、ターゲットを手嶋ではなく、2位にいた深堀圭一郎に切り替えていた。弱気と言われるかもしれないが、この戦略の裏には、確かな分析があった。
実は日本シニアオープン前週に行われたコマツオープンの最終日、桑原は手嶋と同じ組でラウンドしていた。結果は70をマークした桑原が8位タイ。手嶋は75とスコアを崩して23位タイだった。
「多一さんは、ドライバーショットがちょっと荒れていました。でも、3W、5Wのショットは素晴らしかった。で、日本シニアオープンです。3日目までスコアを伸ばし続け多一さんは、ドライバーで無理するホールがな
く、3W、5Wでフェアウェイヒットしておけば、バーディチャンスにつけられるホールが多い。“このコースは、間違いなく多一さん向けだな…”って思っていたんです。案の定の好スコア連発でしたね。最終日も、崩れることは考えられませんでした。だから、逆転なんて考えず、3打差の2位の座を目指すことにしたんです」
パッティングは大会を通じて好調だった。2バーディ・1ボギーで迎えた9番パー5ホール。桑原は、この9番をキーホールに挙げていた。「インに入るとグリーンの難しいホールが続くので、9番でバーディをとっておくと楽な気持ちでインに向かっていけるから」
狙い通りにバーディを決めて、グリーンの難しい10番からの3ホールをパーで切り抜け、14、15番と連続バーディ、最終ホールもバーディ奪取で通算11アンダーパーまでスコアを伸ばしてのホールアウトになった。深堀を始め3選手を抜いて狙い通りの2位。手嶋とはスタート時と同じ8打差のままだった。桑原の読みと目標設定どおりの結果にホールアウト後の桑原は、「満足です!」と言って胸を張った。
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