ルーキーで日本女子プロゴルフ選手権を制した川﨑春花。史上最年少(19歳133日)でビッグタイトルを手にしたのだが、その代償は小さくはなかった。残ったのは喜びと疲労。19歳の若さをもってしても、過酷な戦いは、精神的にも肉体的にも疲労を蓄積させていた。
日本女子プロに勝つまでは、レギュラーツアーへの出場予定は少なく、ステップ・アップ・ツアーとの掛け持ちでちょっと余裕のあるスケジュールが予定されていた。しかし、日本女子プロに優勝したことで日本女子オープンも含めて全試合に出場できることになった。
「ありがたいことですし、疲れたなんていっていられない状況になったのは、わかっていたのですが、経
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験したことのない疲労感があって、体も思うように動かなくなっていました」
そんなわけで、日本女子プロ後は、2試合連続予選落ちになってしまった。そして迎えた日本女子オープンでは、練習ラウンドを控えめにし、ラウンド後のドライビングレンジでの調整も短時間で切り上げて早めにホテルに戻って疲労回復に努めた。日本女子オープンでは昨年に続いて高校時代の同級生にキャディを頼み、ラウンド中もリラックスできるように手配していた。
第1ラウンドはイーブンパーのプレーだった。第2ラウンドも、10番ホールからスタートしてのフロントナインは1バーディ・1ボギーでスコアは動かなかった。日本女子プロでは“イケイケ”のゴルフで4日間通算16アンダーパーまでスコアを伸ばしたが、実は川﨑自身は「難しいコースで、我慢するゴルフの方が好きなんです」という。一喜一憂せず、穏やかな気持ちで、静かにプレーを続けるゴルフの方が、冷静でいられるからだと、その理由を明かした。
バックナインに入って、2番、3番と連続ボギーにした。この時だけは、ちょっと自分に気合を入れたそうだ。同級生だったキャディとも話した。「残りホールでイーブンパーにまで戻そうよ」と言われた。7番(パー5)で第3打の87ヤードを52度のウェッジで1.5メートルにつけた。決めた。続く8番(パー3)は10メートル近いバーディパットが決まった。狙い通りのゴルフでイーブンパーに戻してのホールアウトになった。
第1ラウンドを終えて上位だった選手たちがスコアを落とし、我慢のゴルフを続けた川﨑は通算でもイーブンパーで4位タイまで順位を上げていた。じっくりプレーすることを最終ラウンドまで続けていくことを、この同級生コンビはホールアウト後に確認し合っていた。
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