2022年(第55回)日本女子オープンゴルフ選手権に出場した120選手中、アマチュア選手は27名。『ナショナルオープンはゴルファーみんなのものである』という理念のもと、ツアー競技とは違い、多くのアマチュアゴルファーに門戸を広げている。
今年8月の日本女子学生ゴルフ選手権を制した小暮千広は、最終予選を通過して初めての日本女子オープンに挑んだ。
第1ラウンド、前半はなんとか耐えた。でも後半に入るとティーショットがバラバラに。
「第1ラウンドはゴルフにならなかったです。後半に入ると集中力が切れて、どんどんスコアを崩してしまいました」と振り返った。「第2ラウンドはもう開き直って(笑)。
少しでも学べるものがあれば…とチャレンジャー精神でプレーしました。結果的にはスコアを伸ばすことができなかったけれど、2日間、これぞメジャーという素晴らしいコースセッティングでプレーが出来たのは、今後のゴルフ人生に活かせる経験ができたと思います」と話す。
キャディを務めたのは、パッティングコーチをしている3歳上の姉。「心強かったですね。ただ、せっかく姉がラインを読んでくれても、上手く活かせなくて3パットしてしまって。」と残念そうに話した。
今後の目標は今年のプロテストという小暮。「来年は”@”(アマチュアマーク)を外して、プロとしてこの舞台に帰って来れるように毎日を大切に頑張っていきたい」と力強く語ってくれた。
小暮のように、プロを目指すアマチュアが大半なのだが、その一方で昨年日本女子ミッドアマチュアゴルフ選手権を制し、本選手権初出場したのが水上美慧。
大学卒業後、2年ほどプロを目指すも断念し、アマチュアに復帰した経歴の持ち主だ。
初めての本選手権についての感想を聞くと「第1ラウンド、スタートホールのティーイングエリアに立った時、独特な雰囲気で緊張しました。途中から緊張がほぐれて後半の9ホールはゴルフが楽しかったです。こんなに楽しくラウンドできた試合は初めてです」と笑った。
学生時代、一度だけプロの試合に出場した経験はあるそうだが、「やっぱり全然違います。日本女子オープンでのこの2日間は、ただただ幸せな時間でした」と話す。
もちろん思うようにプレーができず、悔しい気持ちもある。日本女子ミッドアマで優勝し、出場資格を得てから、毎日ゴルフ練習場での打球練習を積み、この日のために調整してきた。「なのに2日目はボギーばかりで(この日ノーバーディ・9ボギー)。でも、今回の目標は『楽しむこと』だったので、それはクリアできました」と笑った。キャディを務めたご主人は現在インドネシアに駐在中で、この試合の為に帰国したという。義理の父は水上晃男。2019年に日本ミッドアマ優勝の他、日本シニアオープンでは2年連続ローアマチュアを獲得するなど、トップアマチュアとして名を馳せている。今年の日本シニアオープンの際、義父・晃男のキャディを務めたのは義母。親子揃って夫婦タッグを組みナショナルオープンに参戦を果たしたのだ。
「普段離れて生活しているので、私たち夫婦にとって最高の思い出となりました(笑)。厳しくタフなコースセッティングをプレーできたこと、そして独特の緊張感の中でプレーできたことは大きいですね。この経験を活かして、今年の日本女子ミッドアマは連覇を狙います」と締めくくった。
小暮は通算19オーバーパーの117位、水上は通算13オーバーパーの99位タイで、初めての日本女子オープンの戦いを終えた。
これからプロを目指す者、アマチュアとしてゴルフを楽しむ者。そしてプロの世界へ進み日々戦い続ける者。全ての参加選手たちにそれぞれのナショナルオープンがある。
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