3アンダーパーでホールアウトした小平智は、ちょっと複雑な表情を浮かべていた。「スコア的には、まぁ満足できる結果ではあったんですけど、もっとスコアを伸ばせたな…という思いもあって、全体的に採点すると50点でしょうか」
練習ラウンドで、戦略は浮かんできていたという。「ラフに入れると、深くてすっぽり埋まってしまうのでパーセーブが難しい。しっかりフェアウェイをとらえていくこと。ドライバーではその確率が低いと思ったら、迷いなくレイアップする。それも“レイアップしようかな…”というのではなく、明確に、積極的に判断していくことが大切。いかに適切なコースマネジメントをしていくかが一つのポイントになる。難
しいコースの方が実力差がでる。タフなセッティングの方が、自分の正確性とか、マネジメント力を生かせる。そういう意味では、好きなコースだし、プレーのし甲斐があります」。
18ホールのうちでボギーでも仕方がないと割り切れるのは7番、12番のパー4ホールだという。通常営業ではパー5ホールになっている。どちらも500ヤードを超える距離の長さと、ランディングエリアの狭さが選手たちに苦戦を強いる。10番ホールからスタートした小平の12番は、ティーショットはフェアウェイをとらえたものの、第2打を左ラフにはずしてのボギーであった。7番はフェアウェイからの第2打をパーオンさせて2パットのパーだった。「この2ホールは、ボギーでもいい…とはいいませんが、ボギーになっても仕方がないと割り切れるので今日の結果は減点材料にはなりません。問題は、この2ホールを除くパー4では、バーディチャンスを作れるホールがかなりあります。そこでスコアを伸ばせなかった。パッティングを決め切れなかった。そこが減点でトータル50点ということになります」
六甲国際での日本オープン優勝は、もう7年前になる。それ以来の大会2勝目を狙う小平は、当時と振り返り、現在の自分と比較している。
「あのころは、イケイケ、ドンドン。勢いにまかせて攻めダルマになってプレーしていましたね。いまは、リスクマネジメントも冷静に考えられるようになっているので、想定外のダメージを受けることもない。出すべくして出すスコアであったり、納得できる結果であったり、落ち着いてプレーに臨めていると思います」
今大会に出場して戸惑ったこともあった。若い選手が多くなって、名前と顔が一致しない。挨拶されても、“ええと…誰だっけ?”ということが少なくない。「それこそ浦島太郎ですよ。で、そういう選手たちが攻撃的なゴルフを展開する。負けたくないですよ。いい刺激になっています。USPGAツアーのQTのことを質問してきたりもします。力だけでなく高い意識も持っています。自分の経験が彼らの役に立つのなら、なんでも協力したいですね」
小平は、USPGAツアーでは準シード権を確定させている。あとは日本だ。今年でシード権が切れる。「だから、ちゃんとシードを確定させて、USPGAツアーに帰りたい。それが、現在の自分の立ち位置です」
ひっそり、ではなく、はっきりと大会2勝目に照準を合わせている。
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