大会前、第1日、第2日と日付が変わるたびに杉浦の気持ち、プレーぶりは、大きく変わっていった。
開幕前の練習ラウンドでは「とてつもなく難しいコースになっている印象で、予選通過のことも考えられませんでした」
第1ラウンドには「とにかくできる限りフェアウェイを歩き、ボギーを最小限に抑えようという消極策をとりました。OBを怖がって逃げすぎるなんてホールもありました」。その結果は1オーバーパーの71。それなりにスコアはまとまったのだが、アマチュアの1学年上にあたる蝉川がマークした64というスコアを目の当たりにして、驚くと同時に大きな刺激を受けたという。そして、開幕前からの自分の姿勢を反省してもい
た。で、第2ラウンドを迎えるにあたって、どう変化したかというとー
「こんな小さなゴルフをしていたのでは到底、上位をうかがうなんてできない。覚悟を決めました。曲がることを恐れずに目標を決めたらしっかり振り切ろうって。もっと攻める気持ちを持たないと、差を広げられるばかりだぞって、自分に言い聞かせたんです」
ドライバーを手にしても、3番ウッドでより正確性を出すホールでも、第2ラウンドの杉浦は、自分に言い聞かせていたとおり、積極的に振り抜いた。これが、正解だったようだ。第2ラウンドでフェアウェイをはずしたのは、11番で右バンカーに打ち込んだ1ホールだけだった。こうなると、得意だというショートアイアンを持てるホール、状況で、ショットがピンにからむ。2番で第2打をレイアップした後のピンまで140ヤードの第3打。9番アイアンで1メートルにつけた。4番では120ヤードをピッチングウェッジで5メートルに。両ホールともバーディにして前半は33。後半にターンしても流れをつかんでいた。
10番(パー4)は3番ウッドでフェアウェイをとらえ、残り130ヤードをピッチングウェッジで3メートルに。13番(パー3)は左奥にはずしてボギーにしたものの、続く14番では100ヤードの第3打を52度のウェッジで2メートルにつけてバウンスバック。さらに18番では135ヤードの第2打をピッチングウェッジでピンを刺し、1メートルにつけて5個目のバーディで締めくくった。
上位に浮上して、ここからの2日間のゴルフに水を向けると、ひと際積極的な言葉が返ってきた。
「攻撃的なゴルフを続けます。今日のゴルフをしたら、自分にとってチャンスホールが結構あるということがわかったので、そこは、もっと攻めます。そういうゴルフじゃないと、優勝には届きませんよね」
なんと、開幕前には予想もつかなかった「優勝」という強い意識が芽生え、目標を大きく切り替えていた。注目しよう。
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