この蝉川泰果のポジティブシンキングは、揺るぎがない。「そうですね、確かに我慢の1日だったかなと思うんですけど、その中でも、後半いい流れが来たので、あと2,3個(バーディが)いけたかなと思うのが正直な気持ちです」と淀みなく答えた。アマチュア選手で、しかも日本オープンの第1ラウンドで首位。その第2ラウンドである。普通なら尋常ではいられない心境だ。確かに、この日のスタートホールから、少しは違っていたのかも知れない。それを緊張という言葉で片付けるのは、簡単だけれど、蝉川には、あてはまらない。「(スタート時からの変化は)特にはないんですけど。ただ、7番とか結構(フェアウェイも視界も)狭く感じるんですけど
、そういった狭いホールで、(ティーショットを)置きにいっちゃうような頭が、すごく働いたんですよ。その辺で、ちょっと逃げたのかなと想いますね」と自己分析していた。彼にとって緊張感は、メンタルを圧迫するのではなく、そういうことだったのかと思った。
蝉川の逃げの気持ちを修正してくれたのは、7番(パー4)でのボギーだったかも知れない。怯まない心。「それから、しっかりと振り切っていかないと」と言い聞かせた。「(振り切らないと)ラフに入れちゃうと簡単にボギーが来るので、その辺で、喝をいれるというか、しっかり振ろうという意識を持ちました」という。この日、2バーディ・2ボギーのパープレー。「パープレーで回ることは価値があることだとは思うんですけど、やっぱり昨日(2位と)3打差つけていて(結果、並ばれて)、そういった部分でもリードはしておきたかったなとは思うんで、イーブンで回れて良かったなではなくて、自分のなかで最低ラインの合格点かなと思います」という姿勢だった。「ドライバーでティーイングエリアに立つと、風が結構きつく感じたので、その分の計算だったり、前の日は朝早いスタートだったので、あんまり風がない状態で回れたので、イメージが悪くなく回れたんですけど、風が吹いた部分だったりパッティングのラインが全然読みきれてなかったので、まあ、カップの位置も微妙なところだったので、そのへんの部分も(スコアが伸びなかった理由が)少なくともあるとは思います。読めていれば、あと4つ、5つはいけているようなゴルフでした」と語った。
このポジティブシンキングには、嫌味がないし、きちんと分析した中での意識だと思う。「(明日からは)やっぱり伸ばせるだけ伸ばしたいっていうのが、いちばん大きい部分ですかね。攻めていかないと優勝は無理だと思うんですけど、攻めた結果、ボギーになるようなセッティングでもあるので、そのへんが難しいところですけど、うまく噛み合えば、しっかり伸ばせるゴルフができるんじゃないかなと思うので、そのへんをできるようにいまから練習して調整します」と言い練習場へ向かった。
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