蝉川泰果の95年ぶりのアマチュア優勝に湧いた今年の日本オープンだが、21歳の蝉川に続く俊英の活躍も見逃せないものだった。4日間72ホールのプレーの末に通算でアンダーパーをマークしたのは、わずか5人。通算4アンダーパーで3位タイに入賞した長野泰雅とアマチュアの杉浦悠太は、それぞれがこの難コースで残したスコアに自信を深めていた。
2021年にツアープレーヤーに転向した長野は、プロ・アマ通じて日本オープン初出場。最終ラウンドは、15番(パー5)でイーグルを奪取するなど1イーグル・3バーディ・2ボギーでこの日のベストスコアとなる67を叩き出して、ポテンシャルの高さを見せた。「いつものように攻めるゴル
フ」でスコアを伸ばし、「15番のイーグル以降は、順位を見て安全なゴルフ」と来シーズンの賞金シード獲得も考えたという冷静さは、19歳という年齢を感じさせない。長野が武器にしている飛距離は、「ティーショットでは他の選手に負けていないと思う」と自信を深めつつ、「ショートゲームには、まだ差があると感じていますが、今回は上手くいったので、平均的な上手さをあげていきたい」と、課題も見つかっている。この日本オープンを大きなステップに来シーズンでの飛躍を期待したい楽しみな選手が現れた。
第3ラウンドで目の当たりにしたJGAナショナルチームの先輩でもある蝉川のプレーに大きな刺激を受けて臨んだ杉浦悠太の最終ラウンドは、ショットはチャンスにつけたもののパッティングに苦しみ、4バーディ・4ボギーのパープレーに終わった。「昨日、蝉川さんと一緒のプレーをしてギャラリーを沸かすプレーとか、凄いと思いました。自分にはまだできない、足りないというか…自分の意識が変わったというか、これからも頑張ろうと思いました」と話す。蝉川とは差を感じたというが、「この難しいセッティングの中、プロの試合で自分の最高順位の成績を残せて、5人しかいないアンダーパーの内の1人であることは、少し自信になります」と、得たものも大きいようだ。日本大学3年生の杉浦は、「もう1年大学生活を過ごす中で、ツアーに何回も優勝できるような実力をつけたい」と表情を引き締める。松山英樹から金谷拓実、中島啓太、蝉川泰果と続くJGAナショナルチームの系譜。杉浦は、それを繋げていく責任を背負い、さらなる成長を期していた。
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