先週のコマツオープンを14位で終えて、そのまま日本シニアオープンに乗り込んできた藤田寛之。練習ラウンドをこなしてのコースの印象を、こう語っていた。「池と吹き抜ける風の読みが難しい。丁寧なゴルフを心掛けて、攻める気持ちを抑えて我慢していかなければいけませんね」
第1ラウンドは、その言葉通りのゴルフを展開した。5バーディでボギーはゼロ。67でのホールアウトだった。
藤田がいう“我慢”というのは、攻め過ぎないということ。ティーショットでは、危険ゾーンは徹底的に避ける。グリーンに打っていくショットもピンを狙うのではなく、基本はセンター狙いで、多少長い距離のパットが残っても、しっかり打っていける上り
のラインになるエリアに打っていくことだ。10番からのスタートで前半の9ホールはパー5の2ホールをバーディにして、あとの7ホールはパーにおさめた。この中で唯一ピンチに立たされたのが18番ホールだった。ティーショットを深い左ラフに入れ、第2打はフェアウェイに戻すだけ。第3打の距離は90ヤードも残してしまった。ここから1.5メートルに寄せ、1パットにしのいでのパーセーブであった。
後半の9ホールは危なげなく3バーディを奪った。上りラインにつけたホールでは、パッティングだけ攻める気持ちを前面に出し、狙った位置から外れて乗ったホールでは、しっかり距離を合わせた。これが、67をマークしたこの日のゴルフの内容である。
シニア入りして変わったことがふたつあるという。ひとつはドライバーの仕様。「自分は、ちょっと重めのクラブで、ショットを操りたいタイプでしたが、うまく操れないようになってきた自覚があったので、もっとクラブに仕事を任せようと考えるようになりました。シャフトを50グラム台の軽いものに切り替えて、スウィング調整にもつとめるようになりましたね。振りやすいし、スウィングスピードも速くなりました。新しいシャフトは、しなり、戻りのタイミングがつかめなかったのを意識してタイミングを少しずつ変えて、なじめるようになりました。飛距離も10ヤード以上伸びたように感じます。今日も、けっこうフェアウェイをしっかりとらえることができました。その意味では、ドライバーのスペックを変えたおかげで、ゴルフがちょっと楽になりましたね」
さて、ふたつ目の変化とは、なんであろうか。
「ノーボギーで5バーディ。思っていた以上のスコアが出て、その分貯金できたと思うのですが、これが、問題なんです。以前は、貯金ができると、それを基にして増えていったのですが、ここ数年は、貯金をすぐに使ってしまうんですよ。攻める気持ちが強くでると、それに今の自分では技術的にも体力的にも足りないものが前面に出てきてしまうんでしょうね。気をつけなければいけません。もう、勢いのゴルフは厳禁ですよ」
レギュラーツアーでは、ドキドキするようになったともいう。「予選通過ラインが気になってしまって…。だからシニアツアーでは優勝争いのドキドキを感じていたい。そうですね、日本シニアオープンでは、特に後者のドキドキの中で最終ラウンドのプレーができるようにしていきます」
絶好のスタートを切った第1ラウンド。これが、初制覇に向けての藤田の思いであった。
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