「ショットは、これまでどおりの調子なんだけど、パッティングが決まらないんだ」
日本シニアオープン初出場から3連覇を果たした頃は、周囲をうんざりさせるほどの強さを誇っていたマークセン。好成績が残せなくなってきてから口癖のようになっていたのが「パッティングが…」であった。絶対の信頼を寄せていたマレット型のパターで、たびたびチャンスを逃すようになったのが、パターへの信頼度を失って苦しんでいた。そして、ここ2年ほどは、新相棒になりうるパター探しが続いていた。全英シニアオープンに出場し、タイに戻って地域オープン競技に顔を出した。そして、ウィラチャンと優勝を分け合って来日して、再開したのが中古ショップ巡
りだった。
茨城県まで足を伸ばして立ち寄ったショップで“出会い”があった。ネオマレットのいわゆる「ツノ型タイプ」パターを手にし、パターマットでボールを転がして気に入った。即購入した。先週のコマツオープンから試合にも投入し、いきなり優勝争いを演じた。プレーオフで深堀圭一郎に「グリップが滑ってしまって」のミスショットで敗れはしたが、復調の手応えはつかんでいた。
2019年大会以来の4勝目を明確に意識して乗り込んだシニアオープンの地。ちょっと残念なことがあった。マークセンといえば無類の温泉好きで知られる。コマツオープンでも温泉を楽しむつもりでいたのだが、なんということか「熱すぎて入れなかった」というのだ。だから、日本シニアオープンのときこそ…という気になっていた。ところが、予約してあったホテルには、温泉設備がなかった。楽しみがひとつなくなってしまったが、その分もゴルフに気持ちを寄せるつもりで、第1ラウンドは2アンダーパーで滑り出し、迎えた第2ラウンドは6バーディを奪取した。「風が強くなってきたので、ラフに打ち込まないようにしっかりとドライバーショットをコントロールする」というのを基本的な対応策として、狙い通りのショットを打ち続ける。そして、チャンスでは、新相棒となった中古パターで確実に決めていった。6バーディのうちでは、14番でフックしてからスライスして下るという難しい複合ラインが決まるという「ラッキー」もあった。新相棒との相性はすこぶるよさそうだ。
「こういうスコアを出せるゴルフが自分に戻ってきてくれた。日本シニアオープンの4勝目。やります!」
最後は断言してインタビューを締めくくった。
|