10月10日(木) 〜 10月13日(日)
東京ゴルフ俱楽部
競技メニュー
国内男子プロゴルフ界でここ数シーズンに顕著なのは、世界を目指す20代の選手たちの活躍だ。昨年大会を制した岩﨑亜久竜は、2023年シーズンは国内ツアーと並行し欧州ツアーにも挑戦。早くから世界に視線を向けていた。欧州ツアーで苦しんできた経験がナショナルオープン戴冠に繋がったと思うと、勝負の世界には厳しい環境に自ら飛び込むチャレンジ精神が大事であることを思い知らされる。7月8日時点でメルセデス・ランキングトータルポイントランキング1位の金谷拓実も世界を股にかけて挑戦を続けている選手の一人だ。金谷は今季初戦を制するなど同年代を牽引する選手に成長している。
また、アマチュア時代から金谷を目標とし、またライバルとしてきた中島啓太もルーキーイヤーの2023年に国内賞金ランキング1位と史上初のマコーマックメダル2年連続獲得の実力を見せつける活躍を見せ、2024年は欧州ツアーに挑戦し、早くも同ツアーで勝利を挙げている。
さらに、2023年はアメリカ下部ツアーで戦った桂川有人も日欧共催競技を制し、彼らの後を追っている。2022年の本選手権で史上2人目のアマチュア優勝を果たした蟬川泰果もプロ転向をしてから2年間に関西オープンゴルフ選手権とゴルフ日本シリーズで勝利を重ねるなど、順調にキャリアを積み重ねている。現在の日本プロゴルフ界の中心選手として活躍し、世界に飛躍を目指す選手の多くは、JGAナショナルチームで世界を間近な目標として捉えて、研鑽を続けてきた。その選手たちに、昨年のダンロップフェニックストーナメントでアマチュア優勝を果たし、今年の日本プロゴルフ選手権を制した杉浦悠太、中日クラウンズを制した米澤蓮も加わった。日本一の座を争う本選手権は、20代の選手たちの熱い戦いが見られることだろう。ジャータイトル獲得にあと一歩と迫るプレーを見せたがプレーオフで惜敗。
それでも、藤田のこれまでの努力が実を結んでいることを感じさせるプレーぶりだった。
本選手権2勝を挙げている稲森佑貴のティーショットの正確性は、今季も変わらない。フェイアウェイキープ率は7月8日時点のスタッツで2位を約12%上回る78.316と定位置ともいえる1位に座を揺るぎないものにしている。飛距離は出ないものの、稲森はパーオン率でも72.222と5位をキープしているあたり、ショットメーカーぶりを遺憾なく発揮している。持ち前のショット力を武器に本選手権3勝目を虎視眈々と狙っているだろう。
また、大舞台に強い石川遼も目を離せない存在だ。昨年大会では、最後まで岩﨑を追い詰めたもののあと一歩届かず、またもや日本オープンのタイトルを逃してしまった。ここ数年のスウィング改造も結果に結びつきつつあり、抜群のセンスを見せるショートゲームと噛み合えば、これまで悔しい思いを重ねてきた本選手権で喜びを爆発させる姿を見せてくれるかもしれない。
さらに、今季国内メジャー初戦の日本ゴルフツアー選手権で石川とのプレーオフを制して優勝を飾った岩田寛。感情を表に出さないクールな表情と勝負ところを逃さないベテランらしい隙のないプレーは、サイレントアサシンと呼びたくなる選手だ。厳しいコースセッティングでこそ光る中堅、ベテランの技がパワーの若手世代の選手の壁になるか。彼らのプレーにも刮目して欲しい。
JGA創立100周年を迎える本年大会の会場は、本選手権最多となる8度目の開催となる東京ゴルフ倶楽部。日本人による初めてのゴルフ場として、日本ゴルフ界の歴史にその名を刻んでいる。日本ゴルフ協会の創立倶楽部の一つでもある東京ゴルフ倶楽部での日本オープンでは、これまでにもゴルフファンが忘れられない名シーンを生んできた。本選手権に向けて、万全の準備を整えている東京ゴルフ倶楽部の夕闇迫る18番ホールで優勝杯を掲げ、ナショナルオープンの歴史にその名を刻むのは誰になるか。