17番(パー4)。残り60ヤードの2打目をサンドウェッジで1.5メートルにつけ、慎重にバーディーパットを決めた瞬間、田中は優勝を確信した。首位と4打差の6位タイでスタートした田中は、「ショットもパットも完璧」と言う通り、4番(パー4)で10メートルを沈めてバーディーが先行。続く5番(パー4)では135ヤードの2打目を9番アイアンで1.5メートルにつけて連続バーディーを奪う。7番(パー4)では、2.5メートル。8番(パー3)こそ3パットでボギーとしたが、前半を34でハーフターン。13番まで危なげなくパーセーブを続けて迎えた14番(パー3)。田中はティショットをミスし、球はグリーン手前の左足上がり
の斜面に。カップをオーバーすると順目で下りの難しいアプローチが残った。カップまでの距離は10ヤード。サンドウェッジを手にした田中は、このアプローチを直接決めるチップインバーディーで再び上昇気流に乗った。続く15番(パー4)でこの日2度目の連続バーディーとすると、17番(パー4)で勝負を決める6個目のバーディーを奪った。「今日は、4番で長いバーディーパットが決まり、波に乗れた。風も吹いていなかったので、前半は想定通りのスコアでプレーできた」と振り返る。ハーフを終えた時点で、首位の水上が3アンダーパーとスコアを伸ばせずにいるのを尻目に、2打差まで詰め寄った。しかし、田中に優勝争いの意識はなかった。「昨日も前半は33。だけど、後半にスコアを崩してしまったのが悔しくて。今日こそは、後半も良いプレーをしたい」という一心で慎重なプレーを見せる。「今日は、70でホールアウトできれば逆転できるかなと思って、スタートした。それが、67。完璧です」と顔をほころばせる。今年30歳になった田中は、本選手権初出場。ルーキーで初出場初優勝は史上初めての快挙となる。偉業を達成しても、「優勝できたのは、諸先輩方の指導の御陰です」と謙虚に語る田中。来年の日本ミッドアマは、田中にとって地元の小野ゴルフ倶楽部で開催される。「得意のアプローチとパターに磨きをかけていく。そして、メンタルな部分は、先輩に教えてもらいながら鍛えていきたい。大会連覇は是非成し遂げたい」と早くも次の目標を見据えていた。
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