2012年度(第22回)日本シニアオープンゴルフ選手権競技
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Championship Reports
競技報告
【ともに初優勝を狙う井戸木とミノザ。そのプレーの神髄は】
第2日 競技報告:三田村昌鳳    写真:Gary Kobayashi / Kentaro Shiba
井戸木鴻樹とフランキー・ミノザとこの2日間、同組でラウンドしていた重信秀人は「言い方がおかしいけれど、不思議な空気に包まれて」戦っていたという。重信は、ゴルフの調子がいまいちで、いっぱいいっぱいで2日間戦っていた。カットという言葉が、いつも頭に響くような調子だった。
「いや、そういう僕のゴルフを引っ張ってくれたのが、このミノザと鴻樹だったのかなぁ」。

重信の説明を聴いてみよう。
「ミノザのゴルフって、僕もレギュラー時代から知っていますけど、ほんとにプレーしている心が、穏やかなんですよ。もちろん、内面で葛藤があるのかも知れませんが、バーディをとったから、ボギーを叩いたからと、一喜一憂し
ていないように見えるんです。スタートホールでティーショットしてから、最終ホールで最後のパッティングを入れるまで、同じテンポ、同じ目線でプレーしているんです。一緒に回っている僕が、人生観狭いな(笑)って思えてしまうぐらいなんです。もちろんフィリピンという国民性もあるのかも知れませんが、ゴルフゲームの心得とすれば、理想的ですよね?それが後天的じゃない感じなんです。だから、僕も、ガツガツしないで穏やかにプレーできたと思います。いまの自分の調子以上も以下も求めないで、自分のゴルフができました。お陰で、予選も通りました(笑)」。
と、重信が評価するミノザは「スコアのアップダウンは、多少目立ったラウンドだったけど、まあ、ショット自体は良かったし、悪くない1日だったよ」と何事もなかったかのように喋る。それがミノザのミノザたる所以だ。
さらにミノザは、続ける。
「まぁね、相変わらずラフには悩まされるよね。だからこのコースでは、フェアウェイキープが大事なんだけど、火曜日に少し雨が降ったお蔭か、グリーンがそこまで固くなっていないんだと思うけど、ピンが狙いやすい。あと2日間残っているので、自分がどのポジションにいても、上位にいるとか考えずに、自分のゴルフに集中してやっていきたいね」。
マイペース、という言葉通り、自分のゴルフの軸線がしっかりとして、その中で百戦錬磨の引き出しを持ち合わせ、さらにメンタル面も慌てず騒がず、というのがミノザの心情なのだろう。

重信は、予選通過が危ぶまれる内容だったのを、彼らの空気が引っ張り上げてくれたという。
そして、もう一人が、井戸木鴻樹である。
井戸木は、この日、15番ホール(176ヤード・パー3)でホールインワンをし、通算4アンダーパーでバリー・レーンと首位タイに並んだ。前半、1番から5番までパーが続いた。
そして6番パー3でボギー。
「いや、彼は性格が前向きなんですよ。それに、人を嫌がらせるようなゴルフをしない。僕は、若い頃から大好きな選手の一人なんです」と、井戸木をベタ褒めしたのも重信だった。

人を嫌がらせるようなゴルフとは、説明が難しいけれど、つまりスマートで、ミスしてもジメジメしないで、回っていて気持ちがいい、という意味合いなのだろう。
1961年11月2日生まれ。昨年50歳になって、今季からシニアツアー入りしたシニアルーキーである。
「(どれだけレギュラーツアーで戦っていても)シニアルーキーとしてティーインググラウンドに立つと、手が震える」と昨日のコメントがあった。そんな青年の志を、いまだに持ち合わせている選手だと思う。
でも、レギュラー時代が順風満帆だったわけではない。2009年には、4度目のシート復活だった。そのとき47歳になっていた。それでも諦めないのが井戸木の心の軸にあるのだろう。

07年には、肋軟骨を損傷して一時ツアーを離脱。08年には、開幕前に足の甲を骨折したこともあった。
それでもレギュラーツアーで踏ん張った。09年のフジサンケイクラシックでは、最多タイ記録(1985年以降のツアー記録)のとなる7回目のホールインワンを達成した。そして今回が、8回目(生涯11回目)を達成して、通算4アンダーパーの首位タイで2日目を折り返した。
井戸木は、レギュラー時代から、ショットの正確さには定評があった。
事実、フェアウェイキープ率が計測された01~09年の間で、1位が5回という記録を持っている。
井戸木は、この日、7番でボギーのあと、すぐさま連続バーディ、さらにボギーとし、前半をパープレーで折り返した。後半、10番でまたもやボギーとしたものの、13番でバーディとして均衡を保っていた。
そして迎えた15番で、ホールインワンが出たのである。
「6番アイアンで打って、右から(ドロー目に)回ってくれたらいいなぁという気持ちで打ったんです。まあ、悪くても右へ回らなくてもいい、という気持ち(開き直り)で……。そしたら、トントン、ちゃ、って入りました(笑)」。
ボールのピッチマークはピン手前3メートルほどにあった。

「ちょっとドライバーが曲がっていましたけど、なんとかうまくいって回れたという感じです。6番で3パットのボギーを叩いたときは、苦しかったけれど、なんとか耐えたんです。すぐに2バーディが獲れて、落ち着きも取り戻せたのかな、と」と井戸木は語った。

「ふたりのゴルフも性格も良かったので、ときどき会話を交わしながら、僕も精神的なイライラや切迫感を和らげるいいクッションでしたよ(笑)」と、重信は、この18ホールを振り返った。
誰もが、難しく苦しむ、そして途方に暮れるようなセッティング。けれども、この首位タイのふたりは、追いつめられて、閉塞感といっぱいいっぱいの気持ちになる自分を、自分なりの手立てで活路を見出そうとしている。
「(このタイトルは)信じられないほど、ビッグ、ビッグ過ぎて、夢に見たこともないくらい大きいです。自分のゴルフをやっていて、頂けるものなら頂きたいですけど……。ともかく、自分のプレーを最終ラウンド、最終ホールまで貫いてやりたいです」
あと、2日間、36ホール……熾烈な戦いは、またこれから始まる。

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