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【ベストスコアをマークして2位タイに浮上した中嶋常幸の決意】 |
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第3日
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競技報告:三田村昌鳳 写真:Gary Kobayashi |
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ホールアウトしてアテストを終えた中嶋常幸は、黙々とギャラリーにサインをし続けた。それを終えると一目散に、ドライビングレンジに走った。およそ20分ほどだったか。さらに今度は、アプローチ練習場へ足を向けた。グリーンまわりの深いラフからのアプローチ……。それも、逆目、順目、浮いているボール、沈んでいるボールなど、何度も、なにか呟きながら練習している。さらにバンカーから100ヤードほどの距離を、低い球筋でクリーンに打つ練習……。そして、最後は、練習グリーンへと向かった。
メディアのインタビューにやってきたのは、それから後のことである。およそ1時間。中嶋がインタビューよりも先に練習場に走るのは、珍しい
。
「いや、(待たせて)済まないと思うんだけど……。悪いイメージと悪いショットは、体に脳裏にも、残したくないんよ。取り払っておかないと……」
そう言ってインタビューが始まる。
「前半は、いいペースだったんですけど?……」
「いや、66のイメージでスタートしたんだけど、まあ、68だから……」
今日の中嶋のプレーで、唯一の無念さがあったのは、最終18番ホール(571ヤード・パー5)だった。ティーショットはフェアウェイ。そこから3番ウッドでグリーンを狙った。ところが、そのボールがやや左に外れてしまった。
3打目は、バンカーを挟んで、打ち上げるアプローチ。ところが、そのショットがグリーンに届かないで、再びグリーンまわりの深いラフ。そこから寄らず、入らずでのボギーである。
中嶋が、このコース攻略の球筋から解説してくれた。
「ここのコースは、フェードで打つホールがほとんどで、1、2、4、7番でしょう。それから後半に入って、10、11、14、16番。17番も、ややフェードかな。ドローで攻めて行くのは、5、8、13番……。そして18番は、フェードという球筋なんですよ」。
それで?
「そうそう本題……18番で、ドライバーでナイスショットして、第2打。イメージは、ややつま先上がりから、3番ウッドで花道まで運んでいくと、そのままコロコロ転がってグリーンに乗る。よければ、今日のピンの位置なら、かなり近くまでいける、なぁ、と思って打ったんだけど、つかまり過ぎて……。つまりね、フェードイメージでずっと18番まで来ているので、いきなりのドロー打ちだと、つかまり過ぎることがある。それがミスだった」。
その前の17番ホールで、中嶋は、ティーショットで「ナイスショットだったんだけど、ディボットの跡に入ってしまった。その第2打をミスしたけど、ほんと、ナイスパーを拾って内心、ホッとしたというか、嬉しかったんだよね。そんな流れの中で、18番の第2打は、イメージが膨れ上がっちゃったのかな」。
「少し、がっつきました?」。
「がっついた(笑)。そういうもんよ」
中嶋の言うとおり、練習場に走って「悪いものを取り払って」来たかのように、明るく答えていた。
「いやー、ゴルフってこの歳になっても、いろいろあるよね。ジャンボ(尾崎)が、沖縄(日本オープン)で言ってたように、(結果が良くても、悪くても)全部、己のせいって、よく解るよ。いや解ってるんだけどね……。ほんとに、こうして(日本シニアオープンで)この位置につけているんだけど、この2、3年間って、いろいろあったんだよ。1打差……うーん。ともかく精一杯やるよ」。
百戦錬磨。レギュラー時代の記録や世界のメジャーでの活躍など、数え上げられないほどの実績を持ち、とてつもない技量の引き出しを持っている中嶋常幸。その中嶋であっても、ときに心とイメージと体、そして技量のバランスを崩すことが、大事な場面で起こりうる。
現在、日本シニアオープン最多優勝者は、青木功で5回。そのあとに、中嶋常幸、高橋勝成、金井清一が、それぞれ3回優勝を遂げている。明日、中嶋が勝てば、単独2位となる4勝目を飾ることになるのだ。
中嶋は、この東名古屋カントリークラブ西コースで、どうしても勝ちたいという気持ちが強い。いや決意すら感じる。それは「僕を育ててくれた2試合(日本アマと日本オープン)があるから」だという。
中嶋は、インタビューの終わりに「ドライバーショットがいいからね」と、行けるかも知れないという言葉の余韻を残して立ち去っていった。
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