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【日本女子プロゴルフ選手権との2冠という偉業を目指す鈴木愛】 |
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第3日
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競技報告:三田村昌鳳 写真:Y.WATANABE / G.KOBAYASHI |
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今年の日本女子プロゴルフ選手権で初優勝を果たした鈴木愛。ツアー初優勝が日本女子プロゴルフ選手権、しかも20歳128日の制覇は、宮里藍の持つ大会最年少優勝(21歳83日)を塗り替えた。それは快挙のはずなのに、彼女は「まだ(選手権に)勝った実感がないんです」と言った。確かに、実家にはお祝いの生花がたくさん届いてお祖母さんが驚いていたらしいけれど、本人はずっと遠征の日々で、報告だけ。メールやラインで100通以上のお祝いメッセージも来た。それにはきちんと1週間以上かけて返信した。それでも、まだ実感が沸かない。言い換えれば、彼女の気持ちはまだツアーを転戦中の身であって、モチベーションは戦闘モードにあるか
らだろう。優勝して一段落と思えば、テンションが下がる。本能的に、戦闘モードを消したくないのかも知れない。
第3ラウンドを終えて通算8アンダーパー。ウェイ・ユンジェと並んで首位タイ。いまの彼女は、歴史的な記録に挑もうとしている立場となっているのである。それは同年で日本女子プロゴルフ選手権と日本女子オープンの2冠である。その記録は、日本の女子プロゴルフ界誕生の時期に樋口久子が達成していた連覇以来の快挙となるからだ。けれども、鈴木愛は、良い意味で鈍感だ。「今朝も、コーチに言われたんですよ。あー、そーなんですかって。あー、そうなんだ」と眠い頭の中で、思ったそうである。彼女は、それよりも、いまある目の前の1打。そのホール。18ホール。トーナメントの36ホールを、どうやって楽しめるかということのほうが重要なのだろう。「楽しみながらプレーしたい」という言葉の意味を、彼女は「(プレー中に)モチベーションを(上げて)保ったままでプレーすること」だと解説してくれた。そんなゴルフが、今日もできた。
「途中でエンジンがかかったんです」とこの日のラウンドを振り返る。「前半、いいショットができていても、風も強く(ピンにつけられる距離ではなく)ミドル、ロングパットの距離ばかりになっていたんです。アイアンショットがもう少し(バーディが狙える距離につけば)バーディがくるのに……」ノーバーディ。そして8番でボギー。ふと鈴木は、スコアボードを観た。「たぶん風も強いし、上位はスコアが伸びないだろう。だからまだチャンスはある!」エンジンがかかってきたのは、そのあとからだ。
値千金のバーディが、11番だった。394ヤード、パー4。ドライバーを使わずに3番ウッドで打ち、残り190ヤードをユーティリティ22度で1メートルにつけてのバーディ。これで鈴木愛のエンジンは、滑らかに回転数をあげた。
14,15、16番と3連続バーディ。17番でボギーとしたものの18番では、2メートルの距離を沈めてのバーディだ。そのとき、鈴木は、右手の拳を握って、力強く何度もガッツポーズをして、笑顔を見せた。明日に繋がる手応えを、これも本能的に感じたのだろう。
記者が「女子プロ選手権に勝って、それまでよりも自信がついたのでは?」と質問すると、彼女は「いまのところ自信に繋がっていないと思います」とハニカミながら答えた。そして、振り返る。「あのときは、不安で不安で(3日目を終えた夜は)食事も喉を通らなかったんです。明日、ちゃんとゴルフができるのかな、と。できなかったらどうしよう。明日(最終ラウンド)が来なければいいのに……と、思っていました。いまは? ドキドキ、です(笑)」という鈴木愛。その変化こそが、チャンピオンを経験した自信の裏付けだと思う。きっと最終ラウンドを迎えるのが、愉しみに変わっているはずだ。
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