午後スタートの最終組のひとつ前が、17番ホールのセカンド地点にやってくるときは、すでに太陽が沈みかける瀬戸際だった。日没サスペンデッドになるかどうか。早朝から、激しい雨などの悪天候で、プレーが遅れていたからだ。18番グリーン周りに、大きな投光器が2機セットされていた。菊地絵理香と柏原明日架、そしてアマチュアの勝みなみの組は、プレーを続行していた。18番ティーインググラウンドから第2打を打ち終えて、グリーン周りにきたときは、ますますあたりが暗くなっていた。
「確かに、見えづらかったですけど、そんなことで凹んでいられませんからね。日没サスペンデッドなって、早朝から1ホールを消化して、第2ラウ
ンドをするよりは、多少の無理があっても最終ホールを消化したかったですからね」と菊地が言う。
出だし1番で、ボギーを叩き、その後、3、4番とバーディを奪った。3番は、1メートル。4番は、3メートル。ショットの感触は良かった。さらに、9番でも3メートルを沈めて、前半で2アンダーパー。そして10番でバーディを奪って、この時点で3アンダーパーとし、トップを並走していた。このコースは、終盤の3、4ホールが非常に難度が高い。とりわけ17番(490ヤード、パー4)は、悪天候ではかなり厳しい。菊地は、13番をボギーとしたあと、その17番でもボギーを叩いて、1アンダーパー。首位の森田遥とは2打差の5位タイで第1ラウンドを終えた。
思い出すのは、昨年の日本女子オープンである。チョン インジと李美香に1打差をつけて迎えた最終ホール。そこでパーをセーブすれば初優勝という場面で、2打目をグリーン左手前のラフに打ち込んでしまった。そこから痛恨のボギーを叩いてプレーオフ。そのプレーオフも惜しくも敗れたほろ苦い想い出がある。
「あれから、この1年間、特に100ヤード以内のショートゲームを集中して練習しました」と語った。
夕闇のプレーオフから、夕闇の2016年大会の第1ラウンド。そんな菊地に、スポットライトを浴びて欲しいという気持ちでいっぱいだ。残り3ラウンド。首位と2打差。菊地の試合は、始まったばかりである。
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