柏原明日架が、連日の70で着実にアンダーパーのラウンドを積み重ね、通算2アンダーパーで単独3位につけた。
シード選手として迎えた今シーズン、柏原は好スタートを切っていた。獲得賞金も早々と2000万円台に乗せた。シーズン中盤になるころから、なぜか低迷期を迎えることになった。予選落ちか、通過しても下位にとどまることが多くなっていた。9月第1週の日本女子プロゴルフ選手権でも予選落ちすると、次戦の地(愛知県)に向かうことなく、北海道から九州宮崎の自宅へと戻った。
ゴルフを始めたときからコーチ役だった父親に相談しようと思ってのことだった。「技術的なことから、ゴルフへの取り組み方まで、自分の現
状と悩んでいることを、全部ぶつけました。父は、今シーズンの私の戦いぶりを会場で見たことがなかったので、こと細かく話しました」。
答えは、意外だったという。「技術的な問題ではない。そう言われました。それよりも、意識や考え方が低迷の原因じゃないかと指摘されたのです」。
そこでネットや本でいろいろ調べ、読んだところ、その中でヒントを見つけた。「シーズン途中で、良いところ、ダメなところがわかったのですが、なぜダメなのか。その原因を追究、解明して対処しようと考えていました。それは、拙い方法だと、書いている箇所がありました。他にも、自分にあてはまることがあって。それなら、本に書いてあるとおりにやってみようという気持ちになりました」。
例えばミスしたときに悔しがったり、原因究明に躍起になったり、バーディをうれしがったり…。いわゆる一喜一憂してはいけない。よくいわれる心に波風を立てずにプレーするのを良しとする考え方である。本には、こう書かれていたという。一喜一憂するのは自然で、気持ちを押し殺す必要はない。問題は、それに時間をかけないこと。喜びも、悔しさも、一瞬感じておくだけにして、新たな局面に集中していくことが大切だと―。
バーディパットや難しいパーパットを決めたら、小さなガッツポーズで自分の気持ちを表に出し、ミスしたらイラッとした一瞬の表情を隠さず、その場で感情を処理してしまう。それを心掛けたらマンシングウェアレディース東海クラシックで3日間通算6アンダーパーで19位タイに入った。さらに翌週のミヤギテレビ杯ダンロップレディスでも予選突破(47位タイ)を果たした。そして迎えたのが日本女子オープンであった。
「気持ちの処理を短時間で済ますことで、次の1打を白紙の状態で迎えられるようになって、結果もよくなるという実感があります」。
今大会、柏原は絶好調というわけではない。「むしろ、ゴルフの内容は、あまり良くない状態だ」という。大きいのは、自分がそういう状態であることを受け入れて無理をしないゴルフを組み立てられていることだ。「最終的に、どんな結果になるのかわかりませんが、できることをやる。それで、どこまでいくのか、自分に問う残り36ホールになると思っています」
実は、これこそが自然体なのではあるまいか。柏原のゴルフに注目していきたい。
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