2位タイだった第1ラウンド。長野未祈のフェイスブックやラインに学友や、ゴルフ仲間、さらにその父兄らから沢山のメッセージが届けられていた。誰からきているのか。長野は、それを確かめると「ありがとう。頑張ります」と短く返信しただけで済ませた。
「全部読んでいたら、寝るのが遅くなりそうで…。2日目は、早い時間のスタート(午前7時3分1番ホールからのスタート)なので、早く寝なければいけなかったから、切り上げました」
第2ラウンド。起床は午前3時半だった。「スタート時間の4時間前に起きるのを基準にしています」ということで、コースに着くと、駐車場でランニング、ストレッチで体をほぐし、筋肉を刺激し
て戦いへのスイッチをオンにした。パッティング練習、ドライビングレンジでのボール打ち、そして再びパッティンググリーンに戻ってショートパットを確認する。いつものルーティーンである。
どこにも、違和感はなかった。目標にしていた「イーブンパーでの予選突破」に2打の貯金があることも、気持ちを楽にさせていた。
スタートする。想定外のできごとが待ち構えていた。4番、7番とボギーが先行したのだ。7番は3パットだった。ここで、緊張に襲われた。こうなると普通なら、ずるずると後退していく流れになるものだが、長野は、逆だった。「ここまで、緊張感が足りなかったんです。3パットして、通算スコアがイーブンパーになったことでようやく緊張感が戻ってきました。私は、緊張してプレーする方が好きなんです。自分のペースでできるんです」
続く8番(パー3)。4番ユーティリティクラブで放ったショットは4.5メートルについた。軽いスライスラインだった。「これを決めないと、今日はスコアを作れない…そう思いました。絶対に決めてやるって強く思いました」緊張感は、集中力につながる。長野が、その中でのプレーするのが好きだという理由がそこにある。ただし、肩に力が入る。そうなることを知っていて、力みを抜く方法も自分なりにつかんでいる。肩をぐるぐる回すこと。実際に、この場面で肩から力みを抜いてからアドレスし、バーディパットを沈めてバウンスバックした。
ドライバーショットでラフに入れたのは2番の1ホールだけ。安定していた。アイアンショットが左右にぶれていたのだが、戻ってきた緊張感と集中力の効果か、後半は「ピン筋に飛ぶようになりました」とスコアを作れるゴルフへと切り替わった。10番はピンまで180ヤードの第2打を5番アイアンで打って2.5メートルに。続く11番(パー3)は得意なクラブだという7番アイアンで5メートルに。そして、18番でも145ヤードをまたもや7番アイアンで3メートルに。8番からは、ボギーなしの4バーディで、通算4アンダーパーと、スコアを伸ばしてのホールアウトとなった。
目標としていた予選通過どころか、首位の堀と1打差の2位で残り36ホールのラウンドを迎えることになった。「後半のラウンドでは、ホールロケーションも、もっと難しくなると思うので、スコアを落とさないように、貯金を吐き出さないように、プレーしていきたい」
おそらく、これまで経験したことがないほどの緊張感に襲われながらのラウンドが続くであろう。集中力もMAXとなるのか、それとも、肩を回すぐらいでは解消できない力みに戸惑うことになるのか。長野には、貴重な経験が待っている。
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