第2ラウンドを終えて2位。その夜、長野未祈は、なかなか寝つけなかったという。2日間のプレーで疲労感が蓄積されてしまったのか、興奮が醒めなかったのか。ゴルフ競技に出場しているとき、眠りに入る前はイメージトレーニングをするのを常としているそうだ。
18ホールを頭の中でプレーする。前夜は、18ホールでは収まらずに「頭の中で36ホールもプレーしてしまいました」と長野。1番ホールからティーショットをどこに打っていき、第2打で翌日のホールロケーションを想定して、どこに乗せていくかを決めてねらっていく。思い通りのショットで、理想的なラインに乗せたら、パッティングは強めのストロークをイメージして、カップ
の真ん中から決まるシーンを思い浮かべる。そして、次のホールに向かう。最初の18ホールは、3アンダーパーだった。いつもなら、それで落ち着けて、眠りに入っていけるのだが、前夜は、睡魔に見放されたように、頭が冴えてしまっていた。「仕方ないから、また1番ホールからイメージの中でプレーしてしまいました。2ラウンド目ですよね。今度は、4アンダーパーでした。それで、ようやく眠りにつけたのですが、夜中に3回ぐらい目が覚めてしまって。いえ、それ以上のイメージトレーニングはしませんでした。ひたすら目をつぶって、眠りへの誘いがくるのを待ちました」
現在高校1年生の長野が、こうしたイメージトレーニングをするようになったのは、中学生のときからで、イ ボミがやっていると聞いて取り入れたものだった。
さて、バーチャルではなく、現実の第3ラウンド。イメージトレーニングではフェアウェイ中央に打てたはずの1番ティーショットが左ラフに飛び込んだ。第2打がショートし、アプローチショットも寄せ切れずにボギー発進となった。
この日、中嶋常幸が会場に姿を見せた。長野は、畑岡奈紗らとともに中嶋アカデミーの生徒で合宿に参加している。
生徒たちの活躍に、中嶋は居ても立ってもいられずに駆けつけたのだろう。畑岡には「スウィング面では、何も問題ない。自信を持ってプレーしろ」と声を掛け、長野には「最終組のプレーは、考えている以上の緊張に襲われる。そうなると、グリップを強く握りすぎてショットの乱れにつながるから、アドレスするときにグリップ圧に気をつけるといい」とアドバイスしていた。
3番(パー3)で最初のバーディがきた。8番アイアンのショットが4.5メートルに。軽いスライスラインを読み切って、カップに沈めた。続く4番(パー5)は、第3打の80ヤードをピンそば50センチにぴたりと止めて連続バーディ。8番では、グリーン奥のカラー部分からの下りパットが止まりそうで止まらずに反対側のカラー部分まで転がってしまいボギーとなったが、これでスタート時の通算4アンダーパー。後半は2バーディ・1ボギーで通算5アンダーパーでのホールアウトとなった。最終18番のバーディが大きかった。このホールまで並んでいた堀琴音が、ティーショットを左池に打ち込み、ボギーにしたため、2打差がついての単独トップに立っていた。
好きな色は紺、空色だという。史上初のアマチュア優勝へ。最終ラウンドは、コスチュームのどこかにこの色を使った勝負服に身を包んで臨む。就寝前のベッドでのイメージトレーニングでは、勝負服で勝ち切る姿まで思い描くのであろうか。
JGA公式フェイスブックはこちら
|