悔しさが、溢れ出した。最終ホールで最後のパッティングをし終えると、堀琴音の目頭が潤んでいた。ゲームの流れは、負けていなかったはずだ。第3ラウンドを終えて、首位に立ったアマチュアの長野未祈と2打差で迎えた最終ラウンド。同じ2打差の柏原明日架が、1番でダブルボギーを叩き、通算1アンダーパーと後退。続く2番でバーディを奪ったが、流れに乗れていなかった。むしろ堀は、3番でバーディを奪って通算4アンダーパーとし、首位の長野にプレッシャーをかける勢いがあった。さらに、7番でもバーディを奪って、通算5アンダーパー。逆に長野は、スコアを落として失速していた。
前半を終えて、堀は、トップでターンした。順位
が、目まぐるしくかわる。通算2アンダーパーだった申ジエが、3アンダーパー。チョン インジも10番を終えて通算2アンダーパー。そしてアマチュアの畑岡奈紗も、スコアを伸ばしこの時点で通算2アンダーパー。堀が主導権を握る展開になっていた。けれども、その矢先だ。堀は、11、12番の短い距離のパッティングをペロリと外してしまった。通算3アンダーパーだ。優勝の行方は、痛恨の2連続ボギーで混沌としてしまった。
堀琴音は、最終組のひとつ前。最終組は、柏原とアマの長野。さらに、堀の一組前に、下川めぐみ、飯島茜。そして更に一組前でプレーしているアマ畑岡と李知姫が、スコアを伸ばしていた。李は、なんと11番でホールインワン。この時点で通算3アンダーパーで堀と並ぶ。畑岡も、10番バーディのあと、12、13番をバーディで通算4アンダーパーとして一気に浮上した。堀は、14番でバーディをもぎとり、通算4アンダーパー。この二人を中心に、残り3ホールを迎えた。
先に回っている畑岡が、16番でボギーを叩いた。堀が一歩リードした。それでも、畑岡は、最終18番で素晴らしいバーディパットを沈めて、通算4アンダーパーでホールアウトした。堀が優勝するための目標スコアは、通算5アンダーパーとなった。
迎えた17番。490ヤード、パー5。堀は相性が合うホールだと言っていた。第1打は、フェアウェイをしっかりととらえた。グリーン手前に大きな池がある。そこを越えて、グリーンに乗せなければならない。
「ピンまで220ヤードあったんです。そして池を越えるまで190ヤード強」堀は、迷わずレイアップを選択し、3打目勝負でパー狙いをプランニングした。
「前半は、少しいいプレーができていたんですけど、後半にショートパットを連続して外してしまって……。うーん、ミスヒットですね」と堀は言う。そして、問題の17番については「池に入れてはいけないと思って、刻んだ結果ボギーにしてしまって……情けないですね」と悔しがる。そのとき畑岡とスコアが並んでいることは解らなかったという。「最終ホールで、(ボードを)見て、なのにバーディパット(距離10メートル)を決められなくて残念です」というファーストパットは、あわや、というシーンだった。無情にもカップの淵を通過した。
悔し涙が溢れたのは、そのときだった。「前半の2日間、(畑岡と)一緒の組で回ったんですよ。天才がひとり来たなと思いましたよ。勝つべき人だと。でも、プロが勝たなければいけないと思うので、負けたことは、本当に情けないと思います」試合後、時間が経つにつれて、堀は、その悔しさが、どんどん増幅してきていた。
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