昨年の金谷拓実に続いて、今大会も優勝戦線に名乗りを上げそうな有望アマチュアが好スタートを切った。高校1年生の中島啓太である。出場チャンスはだれにでも公平に与えられるべき―というナショナルオープンならではのシステムであるドリームステージに挑み、みごと出場権を獲得して本戦のステージに立った。1番ホールからのスタートで、4番、6番と2バーディを奪ってスコアボードの上位に名前が登場すると、後半は、10番、12番をボギーにしていったんボードから名前が消えかかったが、最終18番ホールでバーディを奪って4位タイと踏みとどまった。18番は、ピンまで185ヤードの距離を6番アイアンで左奥5メートルに乗せ、下りの
スライスラインを読み切ってカップインさせたものだった。
スタート前は「目標はパープレー。5オーバーパーまでならよしとする」と控えめな目標スコア設定だった。「だから、上出来どころか特上のスタートを切ることができました」と、顔をほころばせた。
練習ラウンドでアダム・スコット、松山英樹と同じ組でプレーする機会に恵まれた。「緊張して、練習ラウンドになるのかな…と思いましたが、2番ホールで、松山さんに“緊張すんなよ”って肩を叩かれて。うれしかったけど、余計緊張してしまいました(笑)。二人とも凄いパワーとスピードで飛ばす。僕のボールより20~30ヤード先に松山さんのボールがあって、そこからさらに10ヤードのところがアダム・スコット選手のボールといった調子でした。(飛距離で)差をつけられることは覚悟していましたけど、実際にそれを見せられたときはショックでしたし、萎えました」
そんな中島だったが、「自分のプレーは、ショートゲームでスコアをまとめるスタイル」と、練習ラウンドで萎えた気持ちを切り替えて臨んだ。最終18番でバーディパットが決まった瞬間に沸き起こった大歓声。「もう、最高でした」。この高揚感を何度でも味わいたい。中島に新たな目標が加わった。
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