「(松山)英樹は、最終ラウンドに上位に行くと思うし、自分ももう1回頑張らないといけない。英樹のプレーを見ていても、グリーン周りのアプローチなどでも、落ち着きがあって安定している感じがします。ティーショットがラフに行っても、ボギーが出そうにない雰囲気がある。それを普段からできていることが凄いと思う」と前半のラウンドの2日間、松山英樹と同じ組で回った石川遼が言った。
松山は、この日、3バーディ・3ボギーのパープレー。通算1オーバーパーで、8位タイにつけた。首位とは、いつの間にか3打差に追いついた。
「うーん。そうですね。スコアを(もっと)伸ばせなかったのは残念ですけど、いまの状態でよく持ちこた
えたなというのが、正直な思いです」と語った。いまの状態というのは「パッティングとティーショットですね。ティーショットは、ほとんどフェアウェイに行っていないですし」という状態だから、やっぱり粘り勝ちのゴルフである。この松山の、状態が中途半端な内容であっても、スコアを大きく崩さないでプレーできた背景には、なんと言ってもショートゲームの上手さにある。石川遼が語るように、構えただけで、いや構えに入る前の松山から発するオーラというか雰囲気を見ていても、ボギーを叩く気配を感じないという技量が、松山の強さのレベルの底上げになっていると思うのだ。
パッティングがなかなか思うように打てない、決まらない。何かのきっかけさえつかめれば光明を見いだせるのに…という状態の選手にとって、この大会のホールロケーションの設定は、とても残酷なのだろう。わずかにカップに蹴られてしまう場面で、ホールの円周のイレギュラーな回転でスーッと弾かれて、思った以上に距離を残す場面がある。おそらくそんなときには、神経に強い電流が走るようなダメージがあるのだろう。
「(いまの自分にとっては)ホールロケーションが、もう少し楽なところになれば、バーディが獲れていけると思うけど、なかなかそうはさせてくれませんからね。まあ、そういうところでも、しっかりと打っていけるように練習したいと思います」
2日間、ゴールデンペアリングと言われるアダム・スコット、石川遼の組み合わせ。「アメリカでもなかなか回ることのない3人だと思います。そういう意味では、大勢のギャラリーが見に来てくれてよかったと思います。ただ、僕のゴルフがねぇ。なんとかショートゲームで踏ん張ってスコアをまとめたというゴルフですから、もっとショットでバーディを獲るゴルフをみてもらいたいです。そういうバーディが、1個もないんですから、いまいちギャラリーの人たちには、物足りなかったのかなと……。でも、まだ残り2日間ありますから、粘っていけばまだまだ(優勝)チャンスが残っていると思うので、気持ちを切らさずにやりたいです」
松山が、大きく変わったと思うのは、自分のゴルフを見に来てくれるギャラリーのために、どういうゴルフを見せなければいけないかを認識し、できるだけそういうゴルフをしようと心がける姿勢なのかも知れない。
|