この大会、片山晋呉の自分のゴルフに徹底している姿が強い印象を与えている。ドライバーをキャディーバッグからはずして、ティーショットにはフェアウェイウッドとユーティリティクラブを使い分けている。しかも、フェアウェイウッドを使ったティーショットで距離を出そうとするときは低めのドローボールで落下してからのランを加えたり、ランでラフにまで転がり込みそうなホールでは高めのフェードボールで落下してからほとんどランのない弾道のショットを打ち出したり…と、持てるテクニックで自在にボールを操っている。
3日間のプレー、スコアを振り返って、こんな話をしていた。「ずっと良いゴルフが続いている。勝つためには、どうした
らいいのか。大会前に真剣に考えて、ドライバーを外すという選択をしたのも、その戦術が勝つために必要だと思ったからだし、2日目までのイーブンパーも計算どおり。第3ラウンドは、スタート前から、いや、前夜のうちから“アンダーパーでラウンドする必要がある”と感じていて、これも、その通りのゴルフができた。着実にゴールに向かっているという実感がありますね」
第2ラウンドのホールアウト直後は「ずっとイーブンパーでもいけるんじゃないか」と語っていたが、その後アンダーパーに目標を修正したのは、上位陣の顔ぶれを確認したからである。「松山、勇太(池田)、韓国勢は、アンダーパーグループを形成して最終ラウンドを迎えることになると思いました。だから、自分も、その流れの中にいられるように、アンダーパーを出しておく必要性を感じました」
第3ラウンドの圧巻のプレーは11番(パー4)だった。3番ウッドで当然のようにフェアウェイをとらえた後の2打目。126ヤードを46度のウェッジで打ち出した球は、ピン手前30センチに落ち、スピンで急ブレーキがかかった後、ゆっくりとカップに吸い込まれていった。イーグルだ。
「ずっとショットの調子は良いので、ピンの根元を狙った。おまけ(チップイン)つきだったけど、いいショットだったでしょ。あそこからのチップインは想定していた以上の好結果だったとしても、バーディをとる確率は高かった。ええ、ショットでスコアを稼げましたね」
続く12、13番ホールで連続バーディを加えて、この時点では通算4アンダーパーにまでスコアを伸ばしていた。その後2ボギーでこの日のスコアは68。予定通りにアンダーパーグループに浮上した。
「チャンピオンズ・ディナーのとき、中嶋(常幸)さんから“日本オープン優勝は、2回じゃダメ。僕と同じ4勝を目指せ”と言われたので、今大会で、そこに近づくための3勝目を挙げたいと思いました」
技と頭を使った片山のゴルフは、最終ラウンドにどんな集大成となって完結するのか。
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