ボギーなしの4バーディ。68でホールアウトした秋葉真一は「夢みたい。会心のラウンドでした」と第1ラウンドのプレーを振り返った。“夢みたい”というのは、練習ラウンドでの大叩きがあったからだ。「ドライバーショットが曲がり、深いラフからまともに脱出できない。スコアのまとめようがない、というラウンドでした」
ドライビングレンジで崎山武志にチェックしてもらい、アドバイスされた。
「曲げたくなくて、ていねいにスウィングしようとし過ぎているんじゃないの?振り遅れているよ。もっと思い切って振り切ってしまえば、逆にまっすぐに飛ぶと思うけど」
アドバイスどおりだった。ドライビングレンジで思い切って振り切
るように意識すると、狙ったところに飛ぶようになったという。迎えた第1ラウンド。「狭いホールでも、いや、狭いホールこそ思い切って振り切る。それで曲がったら仕方がない。そう心に決めてスタートしていった。スタートホールとなった10番(パー4)。ドライバーショットは、フェアウェイをとらえた。第2をピン1メートルにつけてバーディと幸先のよいスタートだった。
前夜来の雨でスタートが1時間遅れたことも「ラッキーだった」といった。「まだ、ショットに不安を抱えていたので、雨の中のプレーでは、どうなるんだろう…と思っていた。小降りになり、そのうち雨があがって、止まりやすいグリーン状態だけが残ってくれた。フェアウェイからのショットならピンの根元近くを狙える状態になっていましたからね」
おまけに数ホールしたところでドライバーショットの不安は、すっかり頭の中から吹っ飛んでいた。次々にフェアウェイをとらえていく。ピンチといえば、13ホール目の4番(パー4)でグリーンをはずした後、アプローチショットを寄せ切れずに5メートル近いパーパットを残したシーンである。このパットを決めてパーセーブ。最終9番(パー5)で1メートルを沈めて4つ目のバーディで締めくくった。
クラブハウスで報道陣に囲まれているところに通りかかったのが午後スタートの加瀬秀樹だった。
「いくつ?」
「4アンダーです」
「お、いいねえ。その運を俺にも分けて。ちょっと、触らせて」
「やめてくださいよ。くすぐったいじゃないですか」
そんなやりとりもあって、秋葉の周辺は、ほんわかした空気に包まれた。
「今日は、崎山さんへのお礼で夕食をおごらなければいけませんね」
シニアのメンバーは、持ちつ持たれつ、支え合いの精神で繋がっている。
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