昨年、2015年シニアツアーで目立ったのが、シニアルーキーを始めとする50代前半の選手とベテラン勢の競い合いだ。今季のファンケルクラシック終了時(8月下旬)までの賞金ランキングを見ると、それがよくわかる。53歳の崎山に次いで、61歳の室田が2位。3位には、50歳のマークセン。4位には、51歳の秋葉真一。5位には、56歳の真板潔。6位には、54歳、台湾の汪 德昌。7位には、52歳の田村尚之。8位には、53歳の久保勝美。そして9位に、60歳の尾崎直道。10位には、56歳の奥田靖己。
ベスト10だけみても、個性豊かな顔ぶれである。この日本シニアオープンからの後半戦で、さらに様変わりするだろうと予想される。
誰もが、日本シニアオープン優勝を目指している。シニアのナショナルオープンだし、世界のシニアメジャー挑戦には欠かせないタイトルだからだ。だから、どの選手もその意気込みが大きい。昨年、優勝争いをした加瀬秀樹は、ともかく穏やかにプレーをしようと心がけたという。「これが結構難しいんですよね。頑張りたいという気持ちを、どこかで秘めながら、でも、入れ込みすぎずにね。それは、無茶はしないことじゃないのかなぁ。つい、入れ込みすぎると無茶な攻めをしがちでしょう。それを少し抑えてマネージメントすることで、心に、波風をあまり立たせないようにすることだと思う。そんなスタートを切って、サンデーバックナインでどんなプレーができるかというのが、理想です」と語っていた。
百戦錬磨。
さりとて試合では、心の動揺や、優勝への執念が強すぎて空回りすることはシニア選手でもある。奥田は「みんな強者、曲者揃いですからね。いろんなワザの引き出しを持っている選手ばかりが戦うわけですから……。最後はパッティングかなぁ」と語る。「ゴルフという不思議なゲームの中にあるもう一つの不思議なゲーム。それがパッティングだ」と言ったのは球聖ボビー・ジョーンズだ。だから、ギャラリーは、ふたつの不思議なゲームを愉しむことができるのかも知れない。ミスをどう紡いでグリーンに乗せていくか。そしてどんな工夫でパッティングをするか。それが勝敗の鍵でもあり、ギャラリーにとってはもっともゲームを楽しめるものだろう。
「パッティングがいいと、ショットに余裕が持てるというか、狙いを狭くしないで済むんですよ。パッティン
グが悪ければ、そのぶん、もっとピンに近づけないとチャンスがないと狙いどころを狭くしてしまう」と崎山が言っていたけれど、そういう攻め方などを参考にするのも観戦の愉しみのひとつになる。
今年の日本シニアオープンの見どころは、個性豊かな選手たちのショットや優勝争いの行方のほかにギャラリーの立場でも、少しゴルフゲームの奥深い部分や人間力の醍醐味、あるいは技術の引き出しなど、いろいろな視点で楽しめる大会になるだろう。
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