シニアルーキーの昨年、優勝こそ逃しているものの賞金ランキング4位と大活躍した米山剛。ベスト10入り、7回。2位2回。その1回が、昨年の本大会だった。平石武則との一騎打ち。最終ホールでの壮絶な戦いで、最後のイーグルパットを沈めれば、プレーオフという場面で、米山は、それを外してしまった。笑顔の裏で、そうとうの悔しさが残っていた。「勝ちたいですねぇ。なかなか勝てないんですけど、優勝争いの中でいつも戦っていたいです。この大会も、去年の悔しさもあるので、なんとか最終ラウンドに優勝争いの中に入っていたいですね」と語った。とはいえ、今シーズンは開幕戦から思うようなプレーができていなかった。その原因のひとつがパッティングだった。「どうもうまういかなかったんです。それで大事になるまえに思い切ってパターを変えてみたんです」と言う。大事とは、そのままズルズルと悩んだり、細工しすぎたりするとイップスの道を辿るかもしれないという危機管理だった。ちょうど那須霞ヶ城シニアオープンの2日目に、長尺パターを使った。「以前のものですが、2インチシャフトを短くして(アンカリング規制に触れずに)握れるようにしたんです」という思い切りが、米山のゴルフを蘇らせた。それ以前の4試合のベスト順位が、34位。それが、那須霞ヶ城シニアオープンで23位となり、13位、5位、2位、4位と調子を戻した。本選手権直前のコマツオープン2016では13位になったものの、たしかに豹変である。
「感覚的に嫌な感覚、ちょっと不安という気持ちを残していると、パッティングだけでなく、ショットにも影響してきますし、善は急げですね」と、取り返しがつかない前に根治という危機管理が、今日の好スコアに結びついているのだろう。
ショットも好調だった。1番で2メートル。3番で1メートルと、6つのバーディを奪った6ホールでは、3メートル以内に全部つけていた。6バーディ・2ボギー。そのボギーの原因は、ラフからのショットによるものだった。
「(ラフからのショットの)打ち方を考えないと」と米山は語った。どう考えたいのですか?という質問に「それは内緒です(笑)」と言った。実は、あまり言いたくないらしい。敢えてとツッコミをいれると「もう少しアウトサイドから入れたいんですけどねぇ」と言って「ちょっといまから練習場へ行きますね」と足早に向かった。
「最終ラウンドの残り9ホールで、優勝争いができる位置にいたい」という米山の第1ラウンド。まさに、いい位置でのスタートである。
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