ボギーなしの6バーディ66。通算4アンダーパーで一気に上位に浮上したのが渡辺司。2009年大会のチャンピオンで2014年大会2位、2015年大会3位と優勝争いに絡んでいる。10番からスタートして14番(パー4)でフロントエッジからパターでカップインさせるバーディで勢いに乗った。18番(パー5)では、第2打をピンまで125ヤード地点にレイアップしてからの9番アイアンでの第3打をピンそば1メートルにつけた。後半にターンした1番(パー4)は7番アイアンを手にしての第2打を2.5メートルに寄せた。つづく2番(パー4)は7メートルのパットを決めた。これで3連続バーディ。さらに6番(パー5)は第3打を1メ
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ートルにピシャリと止めて計6バーディ。
好スコアの要因は、何だったのであろうか。その疑問への答えが「100パーセント、運です」であった。「昨日と、今日のゴルフの内容は、それほど変わらない。それで74と66ですから、運以外の何ものでもないでしょ。フェアウェイを確実にとらえるほどの実力はないし、ピンそばにつける実力もない。もちろん、フェアウェイを狙いますけど、狙い通りの結果になるのは50%ぐらいだし、9番アイアンとかピッチングウェッジを手にすればピンを狙うけど、めったに思い通りの結果になることもない。パットだって2メートルを心臓バクバクでストロークして入ったり、入らなかったり。たまたまフェアウェイに飛んでくれるドライバーショットの確率が高くなったり、アイアンショットが寄ってくれたり、パットが入ってくれたり…と、いいことが幾つか重なってくれると、それでスコアに大きな差が出るのですから、やっぱり運なんですよ」。
18番のバーディで通算イーブンパーにスコアを戻したときには、こう思ったという。「これで週末も、このステージに立っていられるな。覚悟を決めてプレーを続けよう」
ラフに打ち込んだらボギーになることを覚悟する。フェアウェイに戻して、プレーを繋いでいくしかない。できることを確実にやり続ける。そうすると、ショットがピン近くに止まってくれることもあれば、長いパットが入ってくれることもある。逆に、ミスがそのままスコアになってしまうこともある。「好結果になったら幸運に感謝し、運に恵まれなかったら、その結果を自分の実力として受け入れる。自分でスコアを作りにいけるほどの実力は無いのだから、ジタバタしてもいようがない。やれることをやったら、後は、運ですよ、運」
これが、渡辺のいう“覚悟”だ。
「なぁんて言いながら、なかなか覚悟を決められない弱さがあるのが僕なんですけどね」
最後は、ちょっと茶化して締めくくったが、渡辺の静かなゴルフは、日本シニアオープンの舞台では最も求められているものなのではあるまいか。
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