191センチで100キロを超える巨漢。真っ黒に日焼けした“強面”の小溝高夫。実際は、体育会系の礼儀正しさと、優しさを併せ持つ好漢である。日本シニアオープンの舞台になっている習志野CCは、小溝にとって研修生時代を過ごした馴染み深いコースだ。
コースを知っている強みがあり、それが第2ラウンドを終えての2位グループ入りに繋がっているのではないか…と、そう思いがちだが、小溝は「逆です」ときっぱり否定する。
「コースに来て思い出すのは、若いころにOBに打ち込んだり、林に曲げて右往左往した嫌なことばかりなんです。ビビリます。尻込みします。怖いです」
第2ラウンド、10、11番とスタートから立て続
けに1メートル強のバーディチャンスにつけた。このパット、いずれも打ち切れずにショートさせた。「完全なビビリで、手が動きませんでした」。13番では、そのビビリが好結果をもたらしてくれた。7メートル。下りのラインで「そっと打ったら、うまく入ってくれました。手が動かないことが幸いしたんですよね」。
後半にターンしても1、2番とチャンスでファーストパットをショートさせた。ビビリは、まだ尾を引いていた。「なんとか予選は突破したい。4日間戦いたい」という思いでラウンドしていた。3番で2メートル。しっかりヒットできて決まった。これで、ようやく落ち着けたという。続く4番でも4メートルを沈めた。5番(パー3)は「池を避けようと意識し過ぎて」グリーンをはずしてボギーにしたが、続く6番、7番と再び連続バーディを奪った。最終9番(パー5)では、持ち前のロングドライブを生かしてショートカットの2オン狙いにいった。このドライバーショットは木に当たり、3オンになった。そして3パットのボギー。
「最後の3パットは余計でしたけど、これでカットのプレッシャーから解放されて、もう少し楽な気持ちでプレーできると思います」
現在は、アマチュアへのティーチングを中心に活動している。生徒さんは、50人ほどいて、信頼され、慕われている。その生徒さんたちが応援に駆けつけてくれもした。「ありがたいことです。自分が精いっぱい戦う姿を、あと2日間見てもらいます。頑張ります!」
インタビューを終えると、「ありがとうございました」と長身を折り、深々と頭を下げた。
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