この日ベストスコアタイの68とスコアを伸ばした鈴木亨がトップのマークセンに並んだ。「前半は安定したプレー(2バーディ)ができていたけど、後半は難しいし、神経を使わせられるので、1打ずつ必死になる。神経がすり減っていって、ホールアウトすると、どっと疲れが押し寄せてきますよ」
例えば15番(パー4)での鈴木は、こんな状況だった。2オンでカップまで7メートルほどの距離につけていた。「バーディチャンス?とんでもない。下りの大きくスライスするラインで、どうやったらカップ周辺に止まってくれるのかって考えさせられた。入るラインじゃなく、あの段階では、3パットの危機でした」。このパットが、カップに沈んだ。「
入れた、じゃなくて、入ってくれたというバーディでした」
16番(パー3)では、グリーン左サイドに振られたホールロケーションで、また考え込んでいた。得意なのはドロー系のショットなのだが、このホールロケーションでは、グリーン左サイドの池に打ち込む可能性もあって、持ち球が使えない。「普段は滅多に打つことのないフェードボールでグリーンセンターを狙うことにした。幸いうまいこと打てて無難に2パットのパーでクリアできた」
左に大きくドッグレッグしている最終18番(パー5)。ここはティーショットでドライバーでなく、3番ウッドを選んだ。左サイドぎりぎりに打ち出してドローボールになれば最短のルートになる。その狙いで打ったのだが、「気持ちは、“左林には入れたくない”というのがあるから、その気持ちに体が勝手に反応して低いスライスになってしまった」。第2打では、右ラフは避けたい。「普通に打てれば、問題ないけど、“あそこに打つ”じゃなく“右ラフに入れたくない”気持ちの方が先走って、芯をはずしてしまった。1打毎に、こんなことが続くんですから、本当に何が起こるかわかりませんよ。まあ、これが、日本シニアオープンのコースセッティングなんでしょうけど、ヘトヘトになります」
ピンまで167ヤードも残ってしまった第3打。7番アイアンでピン手前3メートルほどの絶好の位置に乗せた。「これを決めたら、最終ラウンドの勝負を面白くできそうだな…とは思ったけど、ラインを読み切る気力が残っていなくて、最後はキャディに聞いてしまいました。まっすぐでいいのか、それとも切れるのか。そしたら“切れるよ”というので、その読みに合わせてストロークしたら、入ってくれました」
今大会、鈴木は、息子の貴之さん(中央学院大2年生、ゴルフ部)をキャディとして帯同している。「最後に、息子に助けられました」。
最終ラウンドは、最終組でのプレーになる。「自分も緊張すると思うけど、息子に最終ラウンドの優勝争いの雰囲気、プレッシャーを感じさせたい。ま、それが、今日の最終ホールのバーディパットを読んでくれたお礼ということにしておいてください」
シニアルーキーの鈴木は、親子のコンビで、こちらもシニアルーキーのマークセンとの同組対決に臨む。
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