ホールアウトした川岸良兼の表情は明るく、インタビューも軽やかだった。それもそのはず、第3ラウンドは、34・33の67。通算2アンダーパーで2位タイに迫ったからだ。
「出だしの3ホールは、ちょっとピンチだったんですよ。それをなんとかパーセーブできて、4番パー3……はい。予定通りのボギーでした(笑)」と笑顔で話す。
予定通りのボギー?3番ホールは、207ヤードのパー3。距離だけでなく、ティーイングエリアからグリーンまでが、打ち上げ。しかも高低差が13メートルある。およそビルの4階に向かって打つイメージだ。それだけではない。グリーンは小さくてバンカーに囲まれている。特に、右サイドは、深いバンカー
からズドンと崖下まで急傾斜。グリーンの奥もすぐに斜面。ティーイングエリアに立つと、グリーン面も見えないし、見えるとすれば、グリーン周りのバンカー群だ。
「左からスライスと思っていたけれど、まっすぐに行って、そこからアプローチをしようとしても、あれ、下手すればグリーンを出ちゃうんじゃないかな、という感じでした。でも、そこはボギーでよしと思って、うまくピン手前1.5メートルぐらいに寄せられたんです。ですから予定通りでした(笑)」
川岸の進撃は、8、9番をバーディとして折返し、圧巻は14番。486ヤード、パー5。残り162ヤードの第2打を8番アイアンで放って、4メートル上りのフックラインを沈めてのイーグルだった。
16番(407ヤード・パー4)でもバーディ。「これはラッキーでした。左手前10メートルが入ってくれました」と嬉しそうに言った。
最終18番をボギーとした。「これも、予定通りと言えば、言えるんですけどね(笑)。いや、この18番は、ティーショットが難しい。ラグビーのゴールポストがあるでしょう?その間を通さなければいけない感じなんですよ。で、それを意識したら、当然、昔からの癖の右手が強く入っちゃったんです。いまじゃ、右手で叩けなんて教えないけれど、昔はね(笑)。柔らかく、柔らかくいきたかったんだけど、はい、曲がりました」と饒舌に語った。
最終ラウンドの豊富は?と訊くと、破顔爆笑で「いやいや僕なんか……」と言いながらも「今日のようなゴルフならねぇ」と付け加えた。鳴尾は、所属の水巻善典プロたちとよく合宿ラウンドをしている川岸だ。「ここの怖さは嫌というほど知っています。知っているからいい、ということと、だから怖いというのがありますね。ボギーは仕方ない。でも2つまでに抑えたい。(優勝を狙うなら)バーディは、5つかなぁ。うーん、難しいけどねぇ。最後は、開き直っていくしかないですね」と、優勝が届く位置にいる自分の最終ラウンドの展開を、イメージしているような表情を見せた。
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