首位を独走かと思えた寺西明は、4番(207ヤード・パー3)で躓いた。第1打を右の崖下。そこからグリーンに乗らずに第3打をグリーン左のバンカー。ようやく4オンして2パットのトリプルボギーだ。この日のホールロケーションは、手前から10.6メートル。右端から6メートル。このホール、イメージとしてビル4階の屋上にヘリポートがあって、かすかに旗だけが見えるところに、落としていく感じだ。しかも、グリーンは奥行きが狭く、左右幅が少し長い。グリーン右サイドに切られたピンをデッドに狙うには、相当のプレッシャーがかかる。
このトリプルボギーのあとすぐにバーディを奪ったが、9番ではダブルボギーと苦戦した。よう
やく寺西らしいゴルフを見せたのは、後半だ。11番、残り100ヤードからピン奥3メートルにつけてのバーディ。14番では、残り165ヤードを7番アイアンで放って、カップ手前約20センチにバウンドし、1.5メートルを沈めてのイーグル。18番をボギーとして、この日2オーバーパーの72でホールアウト。通算4アンダーパーで首位を守った。
「鳴尾でラウンドする以上、ボギー、ダブルボギーは、つきものですからね。いつ来てもおかしくないです。でもトリプルは残念でした。むしろ、これだけ叩いての72というスコアは、十分(満足)です。僕は、ゴルフを楽しんでいますからね」という寺西の、ゴルフを愉しむというのは「緊張感の中でプレーできている」ということである。
「緊張感があるということは、向上心があるということでしょう。少しでもうまくなりたい、いいスコアを出したい、勝ちたいというのは、向上心ですから。だからプロに転向したわけですからね。それを感じているうちは、闘い続けたいし、ゴルフをしていたいですね」と言った。
「ゴルフは、1日のストーリーがあるじゃないですか。スタート前のストーリー。プレー中のストーリー。そして終わってからのストーリー。そんな素晴らしいことってほかにないでしょう」と、心底ゴルフが好きなんだと思えるコメントをした。
最終ラウンド、残り18ホール。寺西は「ノープランです」と言った。でも最終的には、ゴルフの基本に戻るプレーをしたい、そうすれば(チャンスがある)ということになる。
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