チャンスメイクは、ままならない。でもピンチには動じない。ドライバーイップスで、ほとんどドライバーを手にすることがなかった岡茂洋雄は最終ラウンドの14番(パー5)で、本選手権3度目のドライバーでのティーショットを放った。ボールは左ラフに沈んだ。
「せめて最終ラウンドぐらいは、リハビリも兼ねて(ドライバーで)打ってみようか…と思いましたけど、やっぱりうまく打てませんでしたね。練習ではうまく打てて280ヤードぐらい飛ぶんですけど、試合となると、まぁまぁうまく当たっても260ヤードぐらいしか飛びません。それもどっちかに曲がりながらですから、やっぱりドライバーを手にしたらゴルフになりません。でも、イッ
プスになっていいこともあったんですよ。アプローチショットとパッティングがものすごく上達しました。パーオンできなくても、寄せて…、寄せ切れなくてもパットを決めて、ピンチで叩いてしまうことが、本当に少なくなりました」
4日間通算イーブンパー。岡茂は「今の自分にできるゴルフをやり切った満足感、達成感があります」と、順位ではなく、ゴルフの内容とスコアを振り返った。順位については「2位に入れるなんて考えてもいなかったので、幸運だったな…ということぐらいしか感じません」
地元優勝を目指して独走する寺西。追撃する選手たちは、スコアを伸ばすどころか次々とスコアを崩していった。その中で、岡茂だけは、ひたすら自分と向き合い続けていたのだった。1打を前にして、考えることといえば「今、自分にできることは何か」であった。この姿勢を貫いたことが、結果的に岡茂を2位というポジションに落ち着かせたということであろうか。
この後は、また、ドライバーイップス克服に取り組んでいくという。「同病の人たちからも、“早く克服して本を出してよ。早く読みたいんだから”と発破をかけられているので、自分でも、そうしたいと思ってはいるのですが」。いろいろ試し、スムーズな動きを取り戻して、競技で確認する。克服への手ごたえもあるという。あと少しのところまでは、きているのだろう。今後の岡茂のゴルフに注目していきたい。
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