2023年度(第33回)日本シニアオープンゴルフ選手権の開幕を明日に控えた13日、出場選手たちは会場の能登カントリークラブ日本海・はまなすコースで最後の調整に勤しんだ。
今年シニアルーキーの片山晋呉は「ようやく慣れてきたのかなぁとは思いますけど……レギュラーツアーとは若干どころの騒ぎじゃないぐらいの違いがあって。雰囲気とか自分が想像していたことと、ちょっとずつズレていて。一致していない」と、レギュラーツアーとの違いに戸惑いが残っているようだが、「先週もシニアツアーに出て、少しずつそのズレを埋められている感じ」と、シニアツアーの舞台に徐々に身体と間隔を慣らしている段階だという。8月末のレギ
ュラーツアーで腰痛を発症してしまい、「練習はできていない」と表情を曇らせるが、シニア入りして初のナショナルオープンには、並々ならぬ思いがある。「レギュラーツアーで一番欲しいタイトルは、毎年日本オープンでした。初めての日本シニアオープンでも一番強い気持ちで臨むと思う」と、2005年、2008年の2度の戴冠を果たし、通算25勝目を飾り永久シード入りを決めるなど自らのゴルフ人生の節目と刻んできたナショナルオープンへのこだわりは、誰にも負けていない。「能登カントリークラブは、今日で5回プレーしています。ショットメーカーが有利なコースの印象です」と、能登カントリークラブとの相性も良さそうだ。「もう優勝しか狙っていません」そう締めくくった片山。ナショナルオープチャンピオンが得られる栄誉と称号、そして責任を知る片山の自身3つ目のナショナルタイトル獲得がなるだろうか。
シニアツアー参戦2年目の今年、初優勝を飾って上り調子なのが宮本勝昌。「毎週優勝したいと思っていて。勝ちたい気持ちが強くなる一方で勝てなかったので……難しい。優勝できてホッとしています」と、安堵の気持ちをもって本選手権に臨む。宮本は、優勝後も好調を維持しているが、「それでも、ここで良い結果が出るとは限らないですし」と慎重になる。「先週、還暦を迎えられた久保勝美さんが優勝されて。これだけ年の差がある中で、大先輩が優勝されるのは、僕にとっても励みになるし、楽しさでもあります」と、若手だけの争いにはならないゴルフの奥深さと楽しさ、シニアツアーの充実ぶりに自身の好調が重なり、ゴルフへの愛が更に深まっているようだ。宮本自身は、ジュニア時代からJGA主催競技に出場を続け1991年の日本アマチュアゴルフ選手権のタイトルを獲得しているが、ナショナルオープンは未だ未勝利。「アマチュア時代、プロになってからも長きに渡ってやってきていますが、ナショナルオープンは優勝にご縁がない大会。そういう意味で、沸々というものは、ちょっとあります。一つでも上の順位にいきたいし、優勝という部分を一番意識する大会」と、ナショアンルオープン初戴冠に向けて密かに闘志を燃やしている。
昨年大会2位とあと一歩のところでナショナルオープンに手が届いていない藤田寛之。「昨年のことは、振り返っても仕方がない。今年自分がどういう結果を出せるか。自分自身に挑戦していく」と、気持ちを新たに日本一の高みを目指して挑戦する覚悟を語る。今年の藤田は、なかなか優勝争いに加われない難しいシーズンを過ごしているが、「結果は残念ですが、全体的には良い。ショットが思い通りにいかなすぎていますが、それがちゃんといけば、チャンスはあるかなと思っています」と、自信は失っていない。能登カントリークラブは「すごくいい雰囲気。大会自体の雰囲気にメジャーを感じています。内側からやる気が出てくるのが感じられます。できるだけ上の順位でプレーして、この大会を楽しめるように」と、開幕を直前に控え、心の裡の炎も燃えだしているようだ。
連覇で青木功の大会最多優勝記録の5勝目を狙うプラヤド・マークセンを筆頭に、2021年大会を本選手権最少ストロークで優勝した手嶋多一、地元関西の鳴尾ゴルフ倶楽部で開催された2020年大会を制した寺西明、2019年大会優勝の谷口徹ら歴代優勝者が、片山、宮本、藤田らナショナルオープン初優勝を狙う選手たちの前に立ちふさがる。
能登カントリークラブを舞台に展開するナショナルオープンを争うシニア選手たちのプレーに刮目してもらいたい。
|