シニアルーキーの増田伸洋が4アンダーパーの68をマークして2位タイと絶好のスタートを切った。増田には、頑張らなければならないワケがある。レギュラーツアー2勝以上のカテゴリーでシニアツアーへの出場資格はあるのだが、増田は、この資格を保留して、最終予選会に挑戦した。2勝以上の権利を使えるのは一度だけ。いつ使ってもいい。ということで、ルーキーイヤーは使わずに、最終予選会に挑戦した。ここで10位以内に入れば、全試合に出場できる。力が残っているうちはこちらのルートから出場しておきたい。
そんな思惑があっての最終予選会への挑戦だったが、実は思っていたほどスコアを伸ばせず、23位にとどまった。この順位では、出場試合数が限られてしまう。
増田にとっては、日本シニアオープンは5試合目。スターツシニア、ファンケルクラシックはウェイティング扱いで会場に行って、欠場者が出て、出番が回ってくるのを期待していたが、残念ながら練習だけして自宅に戻らなければならなかった。
終盤4試合の出場も決まらずにいる。日本シニアオープン前まで4試合に出場して獲得賞金は451万円余で17位。増田はいう。「賞金の大きな試合でできるだけ上位に食い込み、できるだけ早い段階で来シーズンのシード権内(賞金ランキング30位以内)にメドをたてておきたいんです。精神的に楽になってゴルフをしたいんで…」
昨年は原因不明の腰痛に苦しめられた時期があった。ゴルフの調子も上がってこない。待ち望んでいたシニア入りだったが、自信よりも不安が勝るなかで時間が過ぎていった。幸い、腰痛はおさまり、ウェイトトレーニングを避けてインナーマッスルを中心にしたトレーニングも再開できた。もちろん練習場でのショット練習、ラウンド練習にも時間を費やした。万全とはいえないまでも、戦える準備は整ってきた。
日本シニアオープンでは、練習日にコース状態をチェックした。「ラフに入れると、やっかいなところがある。スポッと埋まってしまったり、逆目でヘッドスピードをコントロールできないようなところも。グリーンが小さいし、セーフティーに真ん中を狙っても、センターが高くなっていて、グリーンサイドに転がってしまう状況もある。そこで、考えましたよ。狙える状況では、セーフティーという部分には目をつぶって、勇気をもってピンを狙う。無理はしません。そのあたりのメリハリがポイントになると自分の中で対策が固まりました」。
そして迎えた第1ラウンドだった。スタートの10番ではフェアウェイからの第2打をグリーンオーバーさせた。このピンチをアプローチショットでカバーして、緊張から解放され、続く11番(パー3)は6番アイアンで5メートルに1オン。このパットを沈めて最初のバーディを奪った。ここからは、練習日を終えて頭に刻み込んだコース対策から、それほどはずれることなく、この日5バーディ・1ボギーでまとめ、4アンダーパーでのホールアウトとなった。
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