この日の日本海からの海風は、30度以上を記録した気温以上に体にまとわりつくねっとりとしたものだった。「(風速1メートルでも)かなり(ボールの行方に)影響がありますね」と寺西明が語ったように、コースセッティングやホールロケーションだけでなく、この海風が一筋縄ではいかない。そんな中、6アンダーパー66で飛び出したのが、宮本勝昌だった。10番からのスタート。12番(パー4)で3メートルを沈めてバーディ。圧巻は、14番(パー5)だった。残り205ヤードを5番アイアンで5メートルにつけてのイーグル。さらに18番(パー5)でも、バーディ。折り返して2番でボギーとしたものの、5、6、8番でバーディをもぎ取っての6アンダーパーだった。
「プラン通りというか、なかなかグリーンの形状が難しいので、真ん中が高いとか、真ん中に尾根があるとか、その両側にピンを切っているので、あまりセーフティにグリーンセンター狙いとかだと、その次のパッティングが難しいというのは想定していたので、条件が揃った時は出来るだけピンサイドに打つように心がけていました。グリーンは全体的に小ぶりですね。こういうコースは好きか、嫌いかで言ったら……苦手です。でも今日は上手くいきました」と語った。苦手なコースを克服するゲームプラン。それをしっかりとマネジメントできた18ホールだったというのだ。
宮本勝昌は、シニア入りして2年目。レギュラーツアーが、現在8戦。そしてシニアツアーが、6戦。計14試合を戦い抜いている。しかも、5月には全米プロシニアゴルフ選手権にも出場するというハードなスケジュールをこなして、本選手権で今シーズン17戦目になる。シニア選手としては若手に入るわけだけれど、かなりハードスケジュールをこなしている。
「(ハード?)いや、去年は、11連戦があったんです。それだとコンディショニングがうまくいかなかったので、今季は4〜6戦をペースとして調整し、体を整えています。だから体調は万全です」と“若さ”を感じさせる。
5月の全米プロシニアゴルフ選手権に出場して、俄然米シニアツアーに魅力を感じて帰ってきた。「もともとアメリカ好きだったので、思った通り楽しかったですし、 結果も良かったので、また来年も行きたい気持ちは出ました。(PGAチャンピオンズツアー)出たいという気持ちもあり、今年は 12 月のチャンピオンズツアーの QT も受けに行きます。 QT 枠が3~4人と枠が少ないと聞いているので、可能性は低いとは思いますけど……」と語る宮本の視野は、かなり鮮明になってきている。そうなると「自分の中では国内のシニアツアーとレギュラーツアーとアメリカのシニアツアーと一応考えているので、どれに重きを置くとかはないですけど……」となんと3つのツアーを転戦したいという意欲満々である。そして顔を引き締めて「(明日からは)もちろんこういうアンダーパーで上がれたというのは、60台で上がれたのは非常に良かったですし、明日もしっかりアンダーパーで回るというのは課題としては毎日あると思います。 要所要所でパターも決まっているので、そこがスコアメイクに繋がっていると思います」と何が起こるかわからないゲーム展開に対しては、慎重な面持ちで語っていた。
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