10番ホールからのティーオフ。スタートからの連続バーディ。「あれ?」と内心思ったという山添昌良は、いい滑り出しを感じた。その直後の12番で3パットのボギー。すかさず13番で5メートルを沈めてバーディ。そこからパープレーが5ホール続いた。後半に折り返して、1番ホールで1メートルの距離を沈めて再びバーディ。そして6ホール、パープレーが続いた。スコアが動いたのは8番だった。ボギーである。それでも、2アンダーパーでまとめて通算5アンダーパーで上位に食い込んだ。「今日はティーショットが良かったので、結構フェアウェイにいってくれたんで、そこが良かったですね。このセッティングだとフェアウェイ行かないと、パー
オンも難しいですし、そう考えると今日はティーショットがフェアウェイにいってくれたので、チャンスにつながったと思います」と振り返る。山添の言葉通り、ラフに入る機会はほとんどなく、入っても芝目が順目だったりというラッキーもあった。前半、13番でバーディのあと5ホールのパー。後半、1番バーディのあと6ホールのパー。バーディチャンスがあったものの、スコアを伸ばせない時間帯があった。「パットが届かないケースがほとんどですね。結局ストローク、気持ちの問題で届かなかったんだと思います」。
気持ちの問題。ショットも悪くない。チャンスにつけられている。そのとき、もっとバーディを取りたいという気持ちと、逆に3パットをしたくないという気持ちが交錯するという。ホールロケーションが難しくなるほどに、そういう心境に陥るケースが多い。“安全に”という気持ち、“バーディを”という気持ち、“オーバーし過ぎて3パットをしたくない”という気持ち。ボギーを叩くと次からのホールの攻めがもっと複雑になる……などなど、選手たちは、その1ストロークを打つまでにさまざまな事象を想い浮かばせてしまうのだ。スコアカードでは、単にパーでホールを過ごしたということだけれど、沈黙のパープレーは、本人にとっては、複雑で悩ましいパープレーとなるのだろう。ましてや8、12番のボギーが3パットだったから、山添にとってはなおさらだった。残り2日間。上位から優勝へと向かう山添にとって、それをどう乗り切るかが大きな分水嶺となるに違いない。
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