ジワジワと忍び寄るという表現が、藤田寛之のゴルフなのかも知れない。第1ラウンドが2アンダーパーの70。続いて71。第3ラウンドで5アンダーパーの67。通算8アンダーパーで首位の宮本勝昌とは1打差の2位。スタート前にキャディと「7ホールぐらいはフェアウエイに落とそう」と話していたという。それほどショットが決まらないでいた。ところが今日は、そのショットがかなり良い調子に変わっていた。「なぜそうなったのか、分析しないといけないんだけれど、途中からよくなってきたんです」と藤田は言った。
4番で1メートルを入れてバーディ。さらに6番(パー5)でも1.5メートルを決めた。後半、12番で5メートルのパ
ーパットを外してボギーとしたものの、13、14番とバーディ。さらにとどめの18番で約1メートルを沈めてのバーディフィニッシュ。藤田のゴルフの思考は「ミスしても後悔しません。だって打ち直しできないですからね。夜に反省はしますけど、後悔はしたことがありません」という話を聞いたことがある。かつてジャック・ニクラスが「ミスショットをしても、2秒で忘れ、切り替える」と言っていた言葉が浮かんでくる。反省するけど後悔せず。それが藤田の気持ちの切り替えの素早さなのだ。「(今日のように)ショットが良ければ、自分のゴルフができるんですけどね。身体もショットも日替わりなんでなかなかうまくいきません」と言った。
今年は、海外のメジャーにも3試合参戦してすべて予選通過した。「いい刺激をもらいましたよ」と語る藤田。明日は、仲の良い宮本勝昌との戦いになる。「いや、むこうはいまシニア最強の宮本ですからね。普通に戦ったら、うーん、勝負になるのかなぁ。もちろん、勝ちたいという欲はあります。この歳なりにね(笑)。いい位置につけていますが、狙ってとれるタイトルじゃないですからね」シニア最強の宮本との一騎打ちが最終ラウンドに展開される。
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