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【最後は安全運転で倉本昌弘が初優勝】 |
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第4日
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競技報告:塩原義雄 写真:Gary Kobayashi |
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レギュラーツアーで30勝。永久シード選手である倉本昌弘は、最終ラウンドの流れを読み切っていた。
「今日は、パープレーでいい。後半は雨の中でのプレーになるから、みんなスコアをそれほど伸ばせない」
では、パープレーを続けるには、どんな戦術で臨めばいいのか。そこもしっかりと考えていた。
「このコースでは、絶対にピンを狙ってはいけない。フェアウェイからショートアイアンで狙える状況でも、ターゲットはグリーンセンター。ピンを狙ってちょっとでもオーバーすると、どんなトラブルになるかわかりませんからね。ピン狙いでいってバーディをとる確率は高くなるかもしれないけど、ボギー、ダブルボギーになる危険性も大きく
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なる。このコースでは、そんなギャンブルゴルフは通用しません」
倉本が「勝ちを意識するようになった」という13番でも、この戦術は変わらなかった。310ヤードと距離の短いパー4。ティショットは会心の当たりで、フェアウェイをとらえた。ピンまで40ヤード弱。この第2打も「絶対にピン奥まで打たない」と手前6メートルに確実に乗せていった。そして、このパットをカップ真中から決めて通算イーブンパーに。さらに続く14番パー5では、グリーン右手前のエッジから30センチに寄せての連続バーディでリードを広げた。この14番パー5でも、右ラフからの第2打は意外なほどのライのよさで、距離的には楽にグリーンに届いたが、倉本の頭の中には「絶対にピンの奥にまで(キャリーで)いかないショット」という計算があり、右手前エッジという絶好のポジショニングができていた。
これで通算1アンダーパー。ただひとりのアンダーパーで、この段階で2位に4打差をつけた。ここからは、さらに計算が進む。シニア入りした倉本は、アメリカのチャンピオンズツアーに参戦したこともあり、日本では07年のビックライザックシニアでの1勝しかない。日本シニアオープンも、今年が2度目の出場だ。
この試合、大誤算があった。練習ラウンドで倉本は手応えをつかんでいた。「優勝スコアは5アンダーパー」と読んでいたのに、いざフタを開けると、いきなり6オーバーパーの76。「正直、焦りました。こりゃダメかな…とも思いました。あとは、とにかく全力疾走で、パープレーまでに戻すことに専念するしかない、と自分に言い聞かせ、ムチ打ちました」
第2日69、第3日67で、通算2オーバーパーまで取り戻した。「箱根駅伝でいったら、坂道を全力疾走した感じで、心臓バクバク、息切れでゼーゼーの状態です」
最終ラウンドは、どうだったのだろう。「ええ、同じ箱根駅伝でいうなら、下り坂を気持ちよく駆け抜け、最後は歩いてもトップでゴールインできる流れを作れましたね」
通算1アンダーパーになった時点で、この歩いても…の流れになっていた。そして、念には念を入れて「最後の3ホールは全部ボギーでもいい。絶対に大叩きの危険のないルートとショットをつなげていけばいける。うまくいけばパー。うまくいかなくてもよし。1打差つけていればいいわけですから、本当に自分のペースでホールアウトできました」
最終ラウンドは、倉本の完勝だった。
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