2010年度(第20回)日本シニアオープンゴルフ選手権競技
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新戦力参入で激戦必至ナショナルオープンならではの真剣勝負:塩原 義雄(JGAオフィシャルライター)
加瀬秀樹

シニアの新世代

シニアツアーに新しい波が押し寄せてきている。
それも、かつてないほどの大波である。
6月の開幕戦から日本シニアオープンゴルフ選手権競技前までの7試合の優勝者を順次並べてみよう。植田浩史、室田淳、真板潔、湯原信光、髙見和宏、池内信治、加瀬秀樹。なんと室田以外は全員シニア初優勝の選手である。しかも、真板、髙見、加瀬は、同ツアーのルーキーで50歳。植田と池内がシニア2年目、湯原は4年目。シニアの新世代といえる。

真板は、第3戦のPGAフィランスロピーシニアトーナメント(7月7~9日、中伊豆グリーンクラブ)、髙見は第5戦のファンケルクラシック(8月20~22日、裾野カンツリー倶楽部)、加瀬は第7戦の日本プロゴルフシニア選手権での優勝だったが、そろって勝ち方も凄かった。真板は、最終ラウンドの大接戦を終盤の15番からの3連続バーディーで抜け出した。ちなみに、この試合で2打差の2位に食い込んだのもルーキーの奥田靖己だった。髙見は、1打差の2位からスタートした最終ラウンドに68をマークしての逆転優勝。

そして加瀬である。
公式戦の日本プロゴルフシニア選手権で3日目に持ち前の長打を生かして2イーグルを含む65と爆発して倉本昌弘とともに首位に並ぶと、最終ラウンドも69とスコアを伸ばしての優勝であった。加瀬は1990年の日本プロゴルフ選手権(大阪・天野山)がプロ初勝利だった。あれから20年。シニア入りしての初優勝が、日本プロゴルフシニア選手権というのも、偶然ではない何かを感じる。その加瀬は、全英シニアオープンに出場した際にB・ランガーやT・ワトソンのゴルフを見て、50歳にして目覚めたことがあったという。
「状況に応じて低く抑えたショットを巧みに織り交ぜる。自分も、ハイドローボールで飛ばすだけじゃいけない。プレーの幅をもっと広げなければ…ということを強く感じて、帰国してすぐに抑える打ち方を練習し始めた」
“50の手習い”がシニア公式戦タイトルとなって結実した。

今年のルーキーたちは、意気込みも違う

髙見は、シニア入りを楽しみにしていたという。
「レギュラーツアー時代に味わった優勝争いの緊張感。あの感じをシニアツアーで改めて味わいたいと思っていました。シニアの中で優勝争いをするには、それなりの準備もしておかなくてはいけません。トレーニング、スウィングチェック、ショット調整と、戦える自分に仕立ててきたつもり」。

シニアツアー入り後の自分のゴルフを考え、強化していたというのだ。髙見といえば、かつてはジャンボ軍団の一員として知られていた。シニア入りを前に、中山徹を中心にした雑草軍団と行動を共にした。2月。室田や加瀬、レギュラーツアーの宮瀬博文らの雑草軍団が、サイパンに集結した。12日間に及ぶキャンプ生活を送るためだった。そこに髙見も参加していた。
今年のルーキーたちは、意気込みも違う。日本シニアオープンゴルフ選手権でも、ターゲットを優勝に絞って臨んでくる。

シニア4強の壁を突破できるか
新戦力の前に立ちふさがる壁がある。中嶋常幸、尾崎健夫、室田淳、髙橋勝成のシニア4強の存在だ。
ナショナルオープンとなると、そろって目の色を変えてくる。このうち、タイトルをつかみ取ったのは中嶋、髙橋両選手なのだが、中嶋は、こう語っている。

「確かに、毎大会、勝者はひとりだけではあるけれど、それぞれが、あの選手たちを打ち負かさないと優勝はないと考え、強い気持ちで戦いの舞台に上がる。ナショナルオープンには、みんな特別な思いがあるからね。だから、誰が勝ってもおかしくない展開になる。勝者になるか、ルーザーになるかは、本当に紙一重の差だと思う」
中嶋常幸
金井清一の3連覇に始まった日本シニアオープン。第4回大会からは青木功が4連覇、そして、第8、9回大会ではグラハム・マーシュが連覇して第10回大会を迎えることになる。ここからは髙橋勝成、中嶋常幸が各3勝を挙げてきた。日本シニアオープン未勝利の尾崎、室田も、優勝争いの常連だ。特に室田は第16回大会から昨年の第19回大会まで4年連続2位と、優勝を逃し続けている。これは、ある意味、青木の4連覇に匹敵する記録といってもよさそうだ。

このシニア4強の壁に挑む新戦力。初優勝組ばかりではない。奥田、芹沢信雄の両ルーキーや、シニア2年目で、今大会の会場である鳴尾ゴルフ倶楽部所属の水巻善典も有力候補として名前を挙げておく必要があるだろう。

名門・鳴尾GCを舞台にしての節目の第20回大会。激戦必至である。

尾崎健夫 室田淳 髙橋勝成
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