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【スコアを落としたアダム・スコットを支えている折れない心】 |
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第2日
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競技報告:三田村昌鳳 写真:Gary Kobayashi / Y.Watanabe |
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イラつく1日だった。たとえ世界ランキング1、2位を争っているレベルの選手であっても、うまくいかない日もある。そんな1日をアダム・スコットは、どう対処したのだろうと思いながら、見守っていた。早朝7時34分のスタート時間。肌寒い秋の夜明け。彼は、いつもと同じように3時間前には、ホテルの部屋でエアロバイクでウォーミングアップをする。それが日課だ。ということは、4時34分には、アップし終えていなければならない。つまり起床は、3時ごろだろう。
「朝のトレーニングと、あとはプレー後にジムで45分ほどトレーニングします。それが日課です」とスコットは言った。これはアダム・スコットだけに限ったことではない。い
ちばん練習熱心で有名だったビジェイ・シンは、当時、丸山茂樹が驚くほどショット練習とジムでのトレーニングを繰り返していた。
「ビジェイは、いつ夕ご飯を食べているのか理解に苦しむほどのスケージュール。真っ暗になるまでコースの練習場にいて、ホテルに帰っても、10時ごろまでずっとトレーニング。いつ夕食をとったの? と思うほど」だったと丸山に聞いたことがある。
自分を律するということは、肉体も精神も技量も、そしてそれらを貫く姿勢も含めて実践しないとトップレベルをキープできない。そういう領域なのだろう。
出だし10番でボギー。さらに12番、13番とボギーを叩いて、4ホールで3オーバーパー。スコットは「特にプレーに問題があったわけではなく、パッティングが入らなかったことだけなので、意識はしていなかったです。(3ボギーが)早い段階だったので、これからバーディを獲れればいいとポジティブに考えていました」と言った。それはポジティブ・シンキングを崩さないというプレー態度の表れだった。バーディが出たのは、前半9ホール目。2オーバーパーで折り返した。さらに踵を返して立て直そうという矢先の10番で、ボギー。この日、3オーバーパー。
フラストレーションがピークになる流れだった。彼は、それをあまり表情に出さない。内心、憤りや不満、イライラのストレス。そして脱却したいと逸る焦りがあるはずなのだ。どう対処したのだろう?
「もちろん、イラつく部分はありますよ。でも、明らかに言えることは、こういうときに過去の偉大な選手から学んだことが役立つんですよ」。
アダム・スコットにとって、イラつくことのバイブルは、偉大な選手たちの金言・名言だったのだ。中でも彼が信条としているのは、スペインのホセ・マリア・オラサバルからの言葉だといった。
「どんな情況にあっても、どんなに苛ついても、たとえそれが、最悪であっても、常に、いまある自分の持つ100%のショット(力量)をしようと心がけることなんだよ」。
目の前に1打に集中せよ。そのとき邪念は入らない。心の動揺もいらない。ただひたすらボールと対峙せよ、ということなのだろう。
第2ラウンドを終えて、通算イーブンパー。首位のマークセンとは、9打差。残り36ホール。彼は、こう言った。
「もちろん、いまの情況は理想ではないけれど、残り36ホール、いいプレーをする必要があります。明日、少なくとも首位とは4~5打差につけていきたい。そういうビッグスコアが必要となります。出遅れているということは、言い換えればプレッシャーが少ない位置でプレーできるわけですからね。リーダーはプレッシャーがかかるゲームになります。ですから、その後ろ側から、こっそりと寄って(迫って)いきたいと思います」。
折れない心。ポジティブ・シンキング。それが、まさにアダム・スコットを支えている。
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